レフュジー 家族の絆
ジャンル
平和 政治経済 人権 多様性 時間 87分
製作年2018年
監督 アレクサンダー・J・ファレル
母に会うために、僕たちはずっと歩き続けた。
シリア紛争で離れ離れになった一家。
先に逃れた母と再会するため、いくつもの国境や困難を乗り越えていく難民の父子たちの旅路を追ったドキュメンタリー。
©REFUGEE DOC LTD.
About the film
2011年から続くシリア紛争は数百万人もの難民を生み出していた。2015年、紛争が悪化するなか、シリアで暮らすアラリ一家はヨーロッパへの亡命を計画していた。まず、母のラフアーがシリアを脱出し、あとから父ナゼムと二人の息子をドイツに呼び寄せる計画だった。母は無事ドイツに到着。しかし、父子がギリシャに到着した頃には国境は封鎖されていた。身動きが取れなくなった一家は果たしてドイツで到着を待つ母と再会できるのだろうか?『レフュジー 家族の絆』は、子どもたちの未来のために安住の地を求めて旅したあるシリア難民家族に密着したドキュメンタリー映画である。
More info
2011年から続くシリア紛争は数百万人もの難民を生み出していた。2015年、ヨーロッパに押し寄せた難民の数は第二次世界大戦以降最大となり、その受け入れを巡る各国の葛藤は“ヨーロッパ難民危機”といわれた。『レフュジー 家族の絆』は、子どもたちの未来のために安住の地を求めて旅したあるシリア難民家族に密着したドキュメンタリー映画である。
シリア内戦が悪化し、故郷にISISの攻撃が迫っていた2015年、シリア人の母、ラフアーは究極の決断を迫られていた。子どもたちをなんとかヨーロッパに逃したいが、夫のナゼムは病気で、工面できる旅費は一人分だった。そこで、まずは母だけでシリアを脱出し、あとから夫と二人の息子、アハメドとハムディをドイツに呼び寄せることにした。しかしナゼムと子どもたちがギリシャに到着した頃には、ギリシャ・マケドニア国境が封鎖。ラフアーは、自分以上の苦難の旅を子どもたちがしなければならないと思うと、気が気でなかった。実際、2千km離れたヨーロッパで最も劣悪な収容所の一つにいるナゼムと子どもたちは、悪夢のような日々を過ごしていた。身動きが取れなくなった一家は果たしてドイツで到着を待つ母と再会できるのだろうか?
Data
原題 |
Refugee |
製作年 |
2018年 |
製作国 |
イギリス |
制作 |
エンヴォイ・エンターテインメント、アマロック・ピクチャーズ、フー・ワークス |
配給 |
ユナイテッドピープル |
時間 |
87分 |
Cast & Staff
監督 |
アレクサンダー・J・ファレル |
製作総指揮 |
サン・フ・マルタ, カート・エングフェール, ローレン・シーリッグ |
プロデューサー |
フランチェスコ・ロスキアヴォ |
原作 |
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脚本 |
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音楽 |
ガイ・ダグル、ニコレット・ストリート |
撮影 |
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編集 |
ジョルジオ・ガリ |
キャスト |
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上映会主催者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
今回上映したのは、シリア紛争により家族が離れ離れとなり、苦しい生活を強いられる中でも再会を目指す難民一家に密着したドキュメンタリー映画でした。
故郷を離れ、命がけで他国の難民キャンプを目指すも、苦しい生活を強いられる罪のない人々や子どもたち。
子どもたちの明るい未来、人間の尊厳を切に求める声。
私にとっては容易に想像し得ない、悲惨な紛争と難民の実態に、言葉を失いました。
この映画を見て、難民となり、生活や家族との別れに苦しむ人々の生の声を聴いて、昨今も続く世界の紛争や災害など、ニュース等で状況を耳にした時、それらを単なる事象として捉えていないだろうかと、改めて自分に問い直しました。そこには、私たちと同じように大切な家族がいる人々や、罪なく平穏な生活を奪われる人々がいて、一人一人が生きています。
私たちが紛争や災害の事実を知った時、そんな人々がいるということを、また、どんな気持ちなのかを少しでも想像しようとすることで、宗教や文化の垣根を超えて様々な人を受け入れることができる、助けようとなにか行動にうつすことができるのではないかと思いました。それらはちっぽけなように感じられますが、そんな想像力や行動が広がっていけば、社会全体としても変わっていくのではないかなと、どうか変わっていってほしいなと思います。
シリアに関わる映画ということで、シリアの女性体がつくる刺繍小物の販売で支援をしているイブラワハイトという団体とコラボをしました。作品を販売するとともに、代表の方に映画の感想を含め、シリアの状況をお話いただきました。「映画の後のトークで映画で起きていることが特別ではないと実感した」「こういう機会でないと観ることがない映画。参加できてよかった」という声をいただきました。
勝手ながら、主催者なりの裏テーマとして「難民シリーズ」というものを上映会の中で組み立てており、本作品は「ミッドナイト・トラベラー」「難民キャンプで暮らしてみた」に続く3作品目として上映しました。
難民とは決して遠い世界のことではなく、自分の身にも起こりうる…と感じるようになったのは「ミッドナイト・トラベラー」を見終わった後からで、そこから勝手にシリーズ化しています。
本作品では「なぜ中東の難民はドイツを目指すのか?」「難民キャンプの実態とは?」「難民生活の中で子供たちはどう生きるのか?」などといったこれまでに湧いた疑問に対する一定の答えが示されていたように感じました。
日本は島国なので、いざ国から逃れるというときにも簡単には国境を越えられないという事情があります。しかしながら、逃れざるを得ない状況は来ないとは言い切れない社会情勢になりつつあると感じています。こういった映画を見てただ憐れむのではなく、当事者意識を持って脳内シミュレーションするための素材として使うことができるし、その必要があるという考えが一層強化された思いです。
まだまだリストには難民に関連する映画があると思うので、さらなるシリーズを組み立て、企画を練ってみたいと思います。
ちょうど改正入管難民法が可決されたタイミングでの、シリア難民問題の映画でした。登場する難民家族らに同情したのにも関わらず、シェア会では日本人は周りに住む外国人を受け入れきれない雰囲気だという意見が交わされ、皆に関わる解決すべき問題というコンセンサスが得られました。また、初めて来場されてあらゆる社会問題についてどんどん語る方がいて、今までいかに皆が意見をほんの少ししか発信しなかったかに気付かされました。
毎日流れるウクライナの悲惨な状況、避難を余儀なくされている子どもたちや家族に心を痛めますが、世界中には今までも多くの難民が貧困と最悪な環境で生きていることを改めて知る映画会でした。1億人以上の難民のその一人一人に歴史があり、家族がいて、人間の尊厳があること、そのことに思いをはせることが支援の第1歩だと参加者は感じた思います。
四角大輔
執筆家・森の生活者