相手の名前を聞き、どんな名前でも「いい名前だね」
出身地を尋ね、それがどこでも「いいところだね」
人と人とのコミュニケーションの原点をまざまざと見せつけられた気分でした。
私たちはいったい何を気取っていたのだろう。
自分の当たり前を恥ずかしく感じます。
デイヴィッドは心に壁をつくりません。
むき出しのまま何も隠さずに相手に迫って来ます。
最初は警戒しても、丸裸の相手にはかないません。
いつの間にか相手も笑顔でデイヴィッドと接しています。
商店でも税関でも、自分がほしいものは手にとって持って来てしまうデイヴィッド。
それを平身低頭して返しにいくギリアン。
このカップルだからこそ成立する絶妙の関係がそこにあります。
もし日本にデイヴィッドがいたら?
悲しいかな、この作品に描かれたようなストーリーにはならないように思います。
窃盗罪に問われるか、監視対象の人物として、地域の厄介者になってしまうでしょう。
15名の精神科医が集まっても、デイヴィッドを病気だとは言えませんでした。
日本だったら「あの人は病気だ」と簡単にレッテルが貼られてしまいそうです。
このストーリーはデイヴィッドとギリアンと名づけられていますが、それ以上に大きな支え合いの輪の物語です。
自由奔放で社会通念から外れてしまうデイヴィッド。
彼が社会で生きていくためには「つなぐ人」の存在が不可欠です。
ギリアンがまさしくそうであり、他にも多くの人がデイヴィッドと社会をつないでいます。
私たちは効率的な生活を志すあまりに「つなぐ人」を失っているのかもしれません。
個人商店からスーパーでの買い物に、そしてネットショッピングに。
煩わしさから解放され、便利な世の中になりましたが、本当にこれは歓迎すべきことなのでしょうか。
コロナウイルスまん延による対面機会の強制的減少によって、私たちはあらためて学んだはずです。
人と人とが直接顔を合わせて言葉を交わす機会がいかに貴重であるかということを。
常に何かに語りかけ続けるデイヴィッドの姿が、それを力強く語っているように思えてなりません。
次回のウナギネマは、2022年3月19日(土)『0円キッチン』
使った廃油 684.5リットル。
走行距離 5079km。
救出した食材690kg。
「食糧危機」を吹き飛ばすエンターテイメント・ロードムービー。
ぜひ次回のウナギネマもどうぞお楽しみに。
詳細・ご予約はこちらからどうぞ!
https://2021unaginema24.peatix.com/
映画『デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり』の特別先行上映会で観ました。
「シャイン」を知らない人って、いるのかしら?好きな映画ベスト1に選ぶ人も多い映画。その「シャイン」のモデルとなったデイヴィッド・ヘルフゴットのライフを撮ったドキュメンタリー映画です。
私の中では、この映画「シャイン」以上です。
彼の演奏に賛否両論あるようですが、そもそも音楽に基準を設けて評価するものなのかしら?と音楽に詳しくない私はそう思っちゃいます。それは人も同じ。音楽も人も、とてもスピリチュアルなもので、自分の魂と繋がったら、判断を超えて、勝手に感動してしまうものだと思っています。
この映画は、まさにそういう体験ができる映画。人を好きになること。よく分かんないけど涙が溢れてしまうこと。笑うこと。心地よいこと。一体感を感じること。自然と感謝してしまうことetc
ぜひ映画館で遠慮せず、笑って、拍手して、感じるままに表現しながら観て欲しい映画。