シャドー・ディール 武器ビジネスの闇
ジャンル
平和 政治経済 時間 90分
製作年2016年
監督 ヨハン・グリモンプレ
知的で辛辣!世界中で公開されるべき作品。 ─ Variety誌
無数の命を奪った人間が私腹を肥し、突如日常を粉々に砕かれた人々は置き去りのまま。生々しい現実が、映画から浮かび上がる。この現状を少しでも変えたいのならまず、恐怖を煽る言葉の前で一度立ち止まり考えたい。権力者が恣意的に口にする「テロ」とは何を指し、誰を攻撃するものなのか、と。
ー 安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
「戦争は政治の継続」(クラウゼヴィッツ)ではなかった。逆に、政治のほうが戦争の継続だった!
兵器産業の使い走りと化した現代政治の真実の一端がここにある。
ー 山形浩生(翻訳家、評論家)
その他コメント https://unitedpeople.jp/shadow/rv
©Shadow World Productions, LLC
More info
世界は武器であふれているのに、この実態は詳しく知られていない。映画『シャドー・ディール 武器ビジネスの闇』は、金と権力と個人の野望が、国家の安全保障や世界平和、人権や開発よりも優先される国際武器取引の実態を描く衝撃のドキュメンタリーである。監督は、アーティストでもある映画監督ヨハン・グリモンプレ(『ダイアル ヒ・ス・ト・リー』(1997))、原作は世界的に高い評価を受けているアンドルー・ファインスタイン著 『武器ビジネス:マネーと戦争の「最前線」』 である。映画には、著名なジャーナリストであるエドゥアルド・ガレアーノの作品もいくつか取り入れられている。
この映画は、告発者、検察官、軍事産業関係者などの証言を通じ、武器の国際取引を取り巻く政府や軍隊、情報機関や軍事会社、武器商人や代理人の複雑な関係を浮き彫りにするだけでなく、武器ビジネスがどのように腐敗を助長し、外交や経済政策を決定づけ、民主主義をないがしろにし、果てしない苦悩をもたらすのかを明らかにする。最終的に、戦争の真の代償、武器取引の仕組み、いかに戦争兵器が市民の安全を確保するのではなく市民に向けて使われるようになるのかを暴いていく。この映画は、現実の闇に光を当てることで戦慄の実態を赤裸々に晒しているが、それはよりよい未来の構築を切望してのことである。
Data
| 原題 |
Shadow World |
製作年 |
2016年 |
| 製作国 |
アメリカ、ベルギー、デンマーク |
制作 |
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| 配給 |
ユナイテッドピープル |
時間 |
90分 |
Cast & Staff
| 監督 |
ヨハン・グリモンプレ |
製作総指揮 |
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| プロデューサー |
ジョスリン・バーンズ、アナディル・ホサイン |
原作 |
アンドルー・ファインスタイン著 『武器ビジネス:マネーと戦争の「最前線」』 |
| 脚本 |
ヨハン・グリモンプレ、アンドルー・ファインスタイン |
音楽 |
カルステン・ファンダル |
| 撮影 |
ニコール・マッキンレー・ハーン |
編集 |
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| キャスト |
エドゥアルド・ガレアーノ(声)、アンドルー・ファインスタイン、デイヴィッド・リー、ヘレン・ガーリック、リッカルド・プリヴィテラ、ピエール・スプレー、ヴィジャイ・プラシャド、マルタ・ベナヴィデス、ローレンス・ウィルカーソン、クリス・ヘッジズ、ジェレミー・スケイヒル 他
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上映者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
世界のリーダーたち、権力を持つ人たち(大国の首脳たち)のパワーゲームとは、そのまま武器ビジネスのゲームであり、お金のゲームであることがわかる映画。
圧倒的な情報量、暴かれる裏側に、1度見ただけではついていけない感覚を覚えるだろう。また、彼らのゲームの結果止むことのない戦争では、社会の最も普通で脆弱な人々が容赦なく命を奪われることも、描かれる。
上映後はほぼみな、放心状態に。しかし、そこで力を失ってしまっては社会を変えていくことはできない。NVC(非暴力コミュニケーション)の手法を使い、映画を見て沸き起こってきた心の中のザワつく感情に名前をつけてみる。
「怒り」「憤り」「うんざり」「諦め」「麻痺した感覚」「悲しい」「力が抜ける」……
それを各自が発表し、聞いた側は、「そのような感情を持っているのは、本当は何を求めているからなのか」を、配布されたカードの中から選んで示していった。
すると、「怒り」や「諦め」を感じているのは、本当は「希望」や「共に生きること」「正直さ」「成長」が、どんな社会にもあってほしいからなのだ……ということがわかってくる。
重たいテーマの映画だが、私たちの望む未来は「これ」ではない。対話を経て、それぞれの参加者は自分が社会に何を望むのかが明確になったようだった。そのことを手放さないことが、自分が平和に向かってできること。最後に皆で確認し希望を持って上映会を終えることができた。
10時の会は、会場が2名、オンライン1名、1330はオンライン1名、19時はオンライン5名と、長野や千葉、埼玉といろんな地域からの参加となりました。
ロシアのウクライナ侵攻から数ヶ月立ち、世界の現状はどうなっているか知りたかった、という感想や、選挙前のタイミングで、政治家の戦争に関する公約を改めて知るきっかけになったという感想があった。
Rolling20'sシネマ シャドー・ディール 武器ビジネスの闇
「武器取引は、表向きの世界のと影の世界、政府と商業と犯罪行為の錯綜するネットワークであり、われわれをもっと安全にするどころか、たいていは豊かではなく貧しくする。そして、われわれのためではなく、自己の利益に奉仕する少数のエリートの利得のために管理され、見たところ法律が及ばず、国家安全保障の秘密主義に守られ、誰に対しても説明責任を負うことはない。」本『武器ビジネス(上)』アンドルー・ファインスタイン、序文から。
この指摘は、身近にも感じていることを手短に、正確にして記していると思う。知らなかった自分、気づいていなかった自分、見て見ぬふりしていた自分が、この映画を観てそんな自分に気づいてしまった後にどうするのか。それを問われていると思う。
この序文の最後にこうある。
「旅の終わりに、筆者は読者がこう問うてくれることを願っている。みんなの生活に影響をおよぼすこの影の世界について、われわれ資金提供者はもっとはるかにたくさんのことを知るべきではないかと、政治家や軍部、情報機関、捜査官、検察官、製造会社、そしてディーラーにもっと高い透明性や説明責任を要求すべきではないかと。そして、われわれはこの世界を荒廃させる影から抜けだすべきではないかと。」
指摘に耳を傾けながら、この映画を鑑賞したい。
戦争がなぜ続くのか、それは武器の供給が続くということも根本的な問題であり、武器の供給がなくなれば戦争は終わる。
アメリカの軍需産業は約70兆円。数年に一度、火種が作られ、在庫一掃セールがどこかの国で行われる。金のために、命がどうなろうと関係ない人たちが軍需産業で莫大な利益をあげている。
日本も軍需産業への参入が始まっているが、それは、誰かの命の代償に作られる利益でもある。
恐ろしいことです。
戦争の裏側を知りたい人は見るべき作品。
WAHAHAシネマで初めての開催でした。6月15日6人、19日7人で計13人の参加でした。
参加者はすべて女性で、20代から60代。「戦争が続き、なくならないわけが分かった」「どうしたらいいか救いがない」「映画がすべて真実なのか、フェイクがあふれている中、わからなくなった」など、多様な意見が出ました。
今、米国は台湾有事を煽っており、日本は巻き込まれそうです。そうなったら死の商人は喜ぶことでしょう。
映画の冒頭と最後に挿入された映像に救われた思いがしました。第一次大戦の硬直した前線でクリスマスに武器を捨て、互いに駆け寄り抱擁しあった兵士達、初めに武器を捨てて敵に身をさらした兵士の勇気を思います。現実の歴史を知ると暗い気持ちになってしまいますが、私はこの兵士の勇気に学びたいです。
この映画は恐怖と不安をあおる者の存在を教えてくれました。煽りにのせられず、冷静になって平和を求めたいです。