『静大サステナ映画館』の第5回上映会のご報告をします。
11月13日(木)静岡大学に、第5回『静大サステナ映画館』を開催し、「グリーン・ライ~エコの嘘~」を上映しました。今回は、14:00の回には大学生・大学教職員・一般参加者7名が、17:00の回には大学生・教職員4名、合計11名が視聴しました。
「認証マーク」や「サステナブル」と謳われた商品を選んで買うことは、環境に良いことをしていると思いたい私たちにとって、衝撃的な内容でした。サステナブルな取り組みを積極的にしているはずの有名企業のダークな一面を知り、何を信じたら良いのか分からなくなる場面もありました。
視聴後に思っていることや感想を共有する時間を設けました。以下、参加者の感想です。
「印象に残ったのはドイツの炭鉱のシーン。現場を動画で見て、衝撃だった。また、BPの原油流出事故の影響がまだ続いていることを初めて知った。情報はどんどん流れていってしまうので、意識して情報をキャッチしたいと思った。グリーンウォッシュに陥らないよう、自身の目でしっかり環境問題に向き合っていきたい。」
「メキシコ湾の大量石油流出の対応がとても雑で、さらに問題を難しくしたというのは初耳で、企業の倫理観に疑問を感じた。」
「多くの企業が、最大限に環境に配慮して、と言っているが、実際のところは分からない。大学の教授とランチで、全てを持続可能な商品にしたら値段が4、5倍高くなると言っていた。環境は良くなるが、幸せかどうかわからなくなった。」
「今まで環境に良いものは商品の表示を見て判断するしか方法はないと思っていたが、それも真実かどうかわからないと知り、衝撃だった。」
「エコラベルも簡単につけられるものもあり、パーム油は環境にやさしい訳ではないと知った。」
「持続可能な認証マークの内情を知って、本当にこれでよいのか、今まで自己満足だったのではないか、痛いところをつかれた。大量生産、大量消費、便利で安く手に入るものを求める生活の裏にある自然破壊、動物の絶滅、農作物への化学物質など、たくさんのリスクがあることを知る必要がある。」
「人は生きているときに何らかの犠牲を払っている。環境を悪くせずに生活はできない。企業は利益を追求する。何が良いことなのかわかならなくなった。リサイクル方法が確立されていない太陽光パネルの設置助成など、疑問が残る。」
「EV車に疑問に思っている。CO2を出さないという売り出し文句だが、製造段階で二酸化炭素を排出し、火力発電で得た電気でモーターをまわすのでは意味がない。また、石油が海に流れて、えびの体内に油が入り、人間は食べることができない。海の問題も森林の問題も、結局、人間に戻ってくるものだと思った。」
「企業と環境活動家の対立ではなく、力を合わせていかないといけない。」
「人間の欲を止めるのは難しい。この欲を環境に良い方向にどう持っていけるか。環境に良いことをするのは「かっこいい」という評価が得られ、それをみんながするようになるとよい。」
「コウノトリの生息地では、無農薬で稲作をしている。そこでできたお米は無農薬米で高いが、消費者もそのことは理解している。利益を追求する方向ではなく、信念をもって、環境に取り組んでいくことが、良いのではないか。」
「サステナブルレポートを出している優秀なはずの企業でも、この映画の中では酷かった。(企業に)丸め込まれるのではなく、つながることは大事だと思う。もう少し、物分かりの悪さを持って、環境問題に対応していかないといけない。」
「この映画の内容は、研究テーマなので良く知っていたが、パーム油もブラジルの開発の問題もあまり改善されていないことに衝撃を受けた。「のせられている」という意識を持たないといけない。環境関連のエコラベル、FSCなどの認証マークは、ないよりはましである。映画の中の演者のような過激な行動をしたら、日本では仲間を失うだろうから、日本なりに訴えていく方法はあると思う。学生にもできることはある。自治体や企業を見学する際、学生は現場の矛盾や持続可能ではないところに気が付き、指摘することができる。よく、「学生さんに言われたことを上司に伝えます」と言われるので、そういう方法でも企業への意見は言えると思う。」
参加者のみなさん、明日からの自分の行動を見つめ直す良い機会になったと思います。有難うございました。
それでも尚、私はこれからも、さまざまな認証を参考にして生活をおくるだろう。なぜなら、この地球上のたくさんの場所で起きていることに想いを馳せるとき、認証という仕組みがなければ世界はもっと酷いことになっていると感じるからだ。今の社会システムが次のステージに進むための手段としての可能性を持つ認証制度そのものを批判するだけでは、持続可能な社会づくりに貢献することにはならない。悪いのは認証そのものではなく、その仕組みを悪用する既得権益者と、認証を盲目的に信じる私たち生活者だ。私たち全員の幸せにとって欠くことの出来ない持続可能な社会を実現するには、一人ひとりが自分自身の目を、耳を、感覚を研ぎ澄ませて、真実に迫る努力をするほかないということを、改めて突きつけてくれるありがたい作品だ。
― 末吉里花
エシカル協会代表
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危機を乗り切るためにユーモアが大切であることを、僕はグリーンランドや南米パタゴニアのフィヨルドや氷河を人力で旅した仲間から学んだ。僕にはない資質を持ったその友人は、状況が深刻になればなるほど独特のセンスを発揮して皆を笑わせた。今、人類は未曾有の危機を迎えている。状況を深く知れば知るほどシリアスにならざるを得ない。でも多くの人々は暗いニュースは好きではないし、耳に痛い話は本能的に避けようとする。大切なことは問題解決への近道を見つけることで、多くの場合、怒りよりもユーモアの方が状況を良くすることに繋がる、というのが今のところの僕の考えだ。そう言う意味でも、この映画の意義は大きい。
― 辻井隆行
元・パタゴニア日本支社長
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“グリーン・ライ”を終結させるためには、大量消費主義と闘う原動力を、魂の底から掘り出さなければならない。わたしたちは、今この瞬間から選ぶことができる。このままウソをつき続けて金を得るのか、それとも、使命に従い自らの命を全うするのか。
― 井出留美
食品ロス問題ジャーナリスト
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SDGsの影響で、遂に大企業もサステナビリティを掲げるようになったが、すべてを鵜呑みにしてはいけない。この映画が暴くその事実を知って「消費する恐怖」がより高まった。さあ、あなたはこれからどうする?
― 四角大輔執筆家・森の生活者
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