シード~生命の糧~
ジャンル
環境 多様性 伝統文化 問題解決 時間 94分
製作年2016年
監督 タガート・シーゲル、ジョン・ベッツ
種は人類の命そのもの。
しかし種子の94%が20世紀に消滅。
種子の多様性を守るために私たちのすべき選択とは?
(c)Collective Eye Films
Synopsis
20世紀中に種子の94%が消滅 種子の多様性が失われている
私たちの命そのものというべき種は、1万2千年以上もの間、世界中の人々によって大切に受け継がれてきた。しかし、驚くべきことに20世紀中に野菜の種子の実に94%がすでに消滅。気候変動や、世界の種子市場を多国籍企業が独占するようになったことが大きな要因だ。市場には遺伝子組換え作物(GMO)が登場し、多くの国々で農家が種子を保存し翌年蒔くことが禁止されるようになった。結果、古くからの農業の伝統が途絶え、人類史上最も早いペースで種子の多様性が失われているのだ。
Story
種は未来に実りをもたらすタイムカプセル
在来種が失われ続けている今、人類の未来の糧を守るため、世界中の種の守り人、シードキーパーたちが挑戦を続けている。「種子は私たちの子孫」とトウモロコシの種を守り続けるアメリカの先住民たち。人類の終末に備え、最大300万種の種を貯蔵できる永久凍土にあるシードバンク、スヴァールバル世界種子貯蔵庫に種子を保存する人々。世界中を駆け巡りながら、種を南米やアフリカなど世界中で収集する植物探究者たち。ヴァンダナ・シヴァ、ジェーン・グドールやウィノナ・ラデュークなど著名な活動家と種子の多様性を守る方法を探る。
Data
原題 |
SEED: The Untold Story |
製作年 |
2016年 |
製作国 |
アメリカ |
制作 |
Collective Eye Films |
配給 |
ユナイテッドピープル |
時間 |
94分 |
Cast & Staff
監督 |
タガート・シーゲル、ジョン・ベッツ |
製作総指揮 |
マリサ・トメイ、マーク・タートルトーブ、フィル・フェアクロフ |
プロデューサー |
タガート・シーゲル、ジョン・ベッツ |
原作 |
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脚本 |
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音楽 |
ガース・スティーブンソン, ベンジー・ワースハイマー、ガイア |
撮影 |
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編集 |
ガート・シーゲル、ジョン・ベッツ |
キャスト |
ヴァンダナ・シヴァ、ジェーン・グドール、ウィノナ・ラデューク、ラージ・パテル、ウィル・ボンソール、イグナシオ・チャペラ、ビル・マクドーマン、マリア・チャム
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市民上映会主催者の声
市民上映会を主催された方の声を紹介します
美しさ 大切さ 恐ろしさ
シード〜生命の種〜
をご覧になられた方々の感想が
「種は美しい。大切なものなのに今恐ろしいことになっている。」
でした。
何もご存知なかった方には衝撃的で、ご存知だった方には、さらに危機感を強める作品でした。
若い方にぜひ見ていただきたいです。
※フォーマットの都合上、料金は1000円ですが、上映会はドネーションで行いました。
作物を選ぶわれわれの責任を考えさせられる
とても充実した上映会になりました。
映画は、全編とても美しく彩られた映像に圧倒されます。緑の畑、青い空、インドの農家の女性たちの鮮やかな衣服、そして種そのものがこれほど多種多彩であることに驚き、そこに詰まった生命のエネルギーまで見えるような気がしてきます。
これと対照的に、神に代わってゲノムを編集し、農薬で大地を汚染し、特許を盾に伝統的な農業を駆逐してゆく多国籍企業の醜さが、おのずと浮き上がって見えてきます。人間も大いなる生命の一部であるにもかかわらず、どうしてこんな愚かな営みを止めることができないのかと、悔しくなります。
私たちの上映会では神奈川県愛川町で「有機農園けのひ」を営む北原瞬さんにお話をしていただきました。たくさんの微生物が含まれる土を大切にし、年間80種類の野菜を育てる北原さんですが、伝統的な野菜よりも消費者に馴染みのある野菜、あるいは収穫しやすい種を育てざるを得ないジレンマも抱えていると仰っていました。一方で、イタリアやフランスの有機農家を訪ねたとき、日本とは異なるその土地の野菜や食文化を守ろうとしている彼らが、自分とまったく同じ思いを抱いていることに勇気づけられたそうです。
作物を選ぶ一人ひとりの消費者も、映画で紹介される種の守り人たちや、伝統的な作物と伝統的な有機農法を守ろうとする農家の方々の思いに応えなければならないと、強く感じさせる上映会になりました。
日光ソーシャル映画祭『シード~生命の糧~』
種子法廃止によって、農業の在り方が変わるかもしれないというタイミングでの開催。実際に農業に携わる方、有機農法に取り組む方、種のビジュアルに興味をもって観に来てくれた方、多様な参加者とともに鑑賞。
上映会後の共有会では、種を取り巻く難しい状況を共有した。
このような機会を持ち、種子について、少しでも興味や関心を持ってくれる方が増えていくことの意味を改めて感じました。
Happy Cinema #13 上映後レポート
連休中日でしたが、遠方からの若い方の参加もあり、6人の方に集まっていただきました。
映画に登場する見たこともない色や模様をした種たちには心をうばわれました。モンサント(現バイエル)による遺伝子組み換え作物の台頭、企業による種子の特許権取得というように、企業経済のために、自然のものである植物が人為的にその基本構造から変えられ、それを企業が独占し大量生産していく仕組みが現在も進行形で進んでいるのはおそろしいことです。モンサントは除草剤ラウンドアップ(発がん物質グリホサート)とラウンドアップ耐性遺伝子組み換え作物をセット販売しており、近年世界各国がその危険性から使用を禁止する中、日本政府は制限せず逆に残留基準値を緩和しているようです。誰のためにもならず、健康を害し環境のためによくないことが、”世界に十分な食料を供給すること” を名目とした大企業により政治的判断にも影響を与えながら公然と行われ、私たちの生活の隅々まで入り込んでおり、逃れるのが困難になっていると感じました。20世紀にじつに9割以上もの種子が失われているという中、種を守るために懸命に頑張っている人たちも登場しました。来ていただいた皆さんからも、できるだけ体にいいもの、大地にいいものを選んでいきたいという意見がありました。人間も植物とそう変わらない自然の一部だという当たり前の事実に立ち返らねばならないのだと思います。
フードスタディーコース 大学生対象 上映会
大阪から那賀町へ来て、いろいろな農作業をする中で本作品も見てもらいました。実際に体を動かしておこなった作業や、地元の方々の畑の様子、タネの様子などの体験と、上映内容をどこかしらで結びつけられていたらよいと感じます。