2025ウナギネマvol.10『シード~生命の糧~』
10月のソーシャルシネマ上映は『シード~生命の糧~』でした
20世紀に94%の種が失われてしまったらしい
その理由は何か
経済優先、効率重視の中で、不経済、非効率とされたのだろうか
確かに、カボチャであればこのようなものという標準的なものがある方が、さまざまな場面で便利だろう
流通においても、同じようなものがたくさんある方が望ましいというのもわかる
しかし、多様性を失うことは、変化への柔軟な対応力を失うことでもある
作中でも、アイルランドで疫病のためにジャガイモが不作となり、飢饉が発生、多くの人命が失われた事例が紹介されていた
もしこの病気に耐性を持つジャガイモがそこにあれば、失われずに済んだ命は少なくなかったはずだ
さらに、命の源である種を、特定の企業が特許として保有していることは由々しき事態だ
農家が保有できない種を企業が独占し、毎年、農家は安くないお金を出してそれを購入する
これでは農家が豊かになることはまったく期待できない
先日上映した『生きることは食べること』の中でアリスウォータースが主張していたのは、農家を大切にすることが持続可能な社会をつくる基本だということ
種の問題についても、まさに同じことが言えるのだ
作中では、さらに化学メーカーによる農薬被害、遺伝子組み換えの危険性についても触れられているが、そもそもの始まりは、目先の利益のために種の保有を手放してしまったところにあるのではないか
現在、世界各地でシードバンクが立ち上げられ、種の保存に取り組んでいる
次の世代にかけがえのない命をつなぐ取り組みだ
種はタイムカプセルだ
種の中には、これまでの歴史とこれからの未来が詰まっている
この言葉をしっかりと胸に刻んでいきたい
次回の上映は11/26水曜『2040 地球再生のビジョン』
オーストラリアNo.1ヒット作!
問題の“解決策”に焦点を当てたリアルな未来想像型ドキュメンタリー
急速に悪化する地球環境、2040年の地球はどうなっているのだろうか?
娘には「こんな未来に生きてほしい」事実に基づく夢の構想
詳細はこちら
https://fb.me/e/6fjP8u6gO
#映画 #SDGs #ソーシャルシネマ #cinemo #unitedpeople #ウナギネマ #福岡 #柳川 #ドキュメンタリー
- 辻 信一(文化人類学者)
***
多国籍企業によるタネの支配が進むことについて、私が心配していた事をタネの歴史から詳しく紐解き、
現在の遺伝子組換え種子まで 丁寧に描いた良い映画です。
この映画を観ればタネは誰のものか考えさせられます。
私は等しく人類の遺産であって、それを金儲けの道具として囲い込みしてはならないと思います。
- 山田正彦(元農林水産大臣)
***
海の向こうの他人事が、
いつの間にか、
私達日本人の足元にも
火をつけているのが見えるだろうか?
国境を超えたマネーゲームが、
種子を農民から取りあげ、
多様性を壊し、
消費者から主権を奪い、
生命に値札をつけてゆく。
この映画は、私たちに気づかせ、呼びかける。
何を口にしているかを知ること
自然とのつながりを取り戻すこと。
「今だけカネだけ自分だけ」幻想から目を覚まし、
動き出した世界中の仲間とともに、
「おたがいさま」という名のタネを、
今すぐまき始めなさい、と。
- 堤 未果(国際ジャーナリスト)
その他レビュー
https://unitedpeople.jp/seed/rv