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ワンダーランド北朝鮮

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ワンダーランド北朝鮮

ジャンル 環境 平和 政治経済 人権 伝統文化 問題解決
時間 109分 製作年2016年  監督 チョ・ソンヒョン

北朝鮮の”普通”の暮らしとその人々。これはプロパガンダか?それとも現実か?

人々の幸せそうな表情に、自然エネルギーを活用した循環型な暮らし。
北朝鮮の予想外のリアルを発見するドキュメンタリー。

Screening Information

上映会 開催者募集

(写真右)チョ・ソンヒョン監督  ©Kundschafter Filmproduktion GmbH

About the film

世界から隔離された国、北朝鮮に良いイメージを持っている人は少数派だろう。北朝鮮のイメージは大概、独裁国家で、核開発を行う危ない国といったところだろう。しかし、それが本当に北朝鮮の姿なのだろうか?韓国出身のチョ・ソンヒョン監督は、この問いの答えを探しに北朝鮮で映画制作を行うため韓国籍を放棄し、ドイツのパスポートで北朝鮮に入国。そして、エンジニア、兵士、農家、画家、工場労働者など“普通の人々”への取材を敢行した。

北朝鮮で制作する全ての映画は検閲を逃れられない。しかし、自由に取材活動が出来ない制約下でも“同胞”として受け入れられたチョ監督は、最高指導者への特別な感情を抱く普段着の表情の人々と交流し、意外と普通だが、予想外の北朝鮮の素顔を発見していく。

公務員画家の男性は、美しい女性を描くことを楽しみ、表情は明るい。デザイナーという言葉を知らない縫製工場で働く少女の夢は、“今までにない独創的な服を作る”こと。こんな“普通”の人々が登場する。また、経済制裁下にある北朝鮮の人々の暮らしぶりは慎ましいが、どこか懐かしさを感じさせる。経済制裁を受け、自活せざるを得ない必要性から、自然エネルギーを活用する人々の暮らしが循環型であることは驚くべき事実である。あなたの知らないもう一つの北朝鮮の姿が明らかになる。

More info

“普通”の人々に出会うために、韓国出身女性監督チョ・ソンヒョンが、韓国人として本来行くことの出来ない北朝鮮に韓国人国籍を放棄し、ドイツ国籍を得てドイツパスポートで入国し、韓国出身者として、初の北朝鮮政府公認ドキュメンタリー映画の制作を行った。韓国では、韓国政府の許可なく北朝鮮に行くと、裏切り行為としてみなされ、北朝鮮渡航後に韓国に戻ると投獄される恐れがある。そんなリスクを避けるために、ドイツのパスポートを使い、北朝鮮に入国したチョ監督は、“同胞”として受け入れられ、自由に取材行動が出来ない制限下で、人々の日常を捉えようとカメラを回していく。そして彼らが人生で何を望み、どんな夢を描いているのか聞いていく。

カメラが映し出す驚くべき北朝鮮の姿の一面は、北朝鮮が閉鎖的で、諸外国から経済制裁を受けているという事情によって皮肉にも持続可能な循環型経済への移行が進んでいることだ。エネルギーの面では、チョ監督が訪れた平壌の真新しいプールは地熱の活用をしているし、田舎の農家では自宅のテレビや照明の電力を太陽光発電により供給している。そこで見えてくるのは、北朝鮮が長年のエネルギー不足を解消すべく自然エネルギーに力を注いでいる事実だ。2013年9月2日朝鮮中央通信は北朝鮮が再生可能エネルギー法を制定したと報道(※1)。AFP通信は「2014年末時点で、北朝鮮国民の約2%が太陽光パネルを入手した」と報じている(※2)。韓国の北朝鮮専門家、鄭昌鉉(チョン・チャンヒョン)氏は、「北朝鮮「2044年までに再生エネルギーで電力500万KWを生産」計画を立案」と、北朝鮮の最新の再生可能エネルギー計画を確認したとしている(※3)。このように、北朝鮮は太陽光、太陽熱、風力、地熱発電など自然エネルギーを推進しているのである。

暮らしの面でも物もお金も限られている必要性から循環型な暮らしが出現している。チョ監督が訪れた農家の家庭では、野菜クズを家畜に食べさせている。家畜の糞は肥料になるし、糞から発生するメタンガスは料理用のガスとしても活用されている。さらに、収穫の終わった後に出る藁は、煮炊きと暖を取るために使われている。経済制裁下の北朝鮮の田舎では、自然とこのような自給自足的な循環型の暮らしが実践されているのだ。

この映画が映し出すそんな普通の北朝鮮の人々の暮らしは、多くの人々が想像するステレオタイプなものとはまるで違うものだろう。

(※1)North Korea adopts renewable energy law
http://www.nkeconwatch.com/2013/09/17/north-korea-adopts-renewable-energy-law/
(※2)北朝鮮で輝く中国製の太陽エネルギー利用機器 国境貿易で取引活発
http://www.afpbb.com/articles/-/3140850
(※3)北朝鮮「2044年までに再生エネルギーで電力500万KWを生産」計画を立案
http://dprkanalysis.info/analyzing02/news/news_detail_72.html

Data

原題 Meine Brüder und Schwestern im Norden 製作年 2016年
製作国 ドイツ・北朝鮮 制作
配給 ユナイテッドピープル 時間 109分

Cast & Staff

監督 チョ・ソンヒョン 製作総指揮
プロデューサー 原作
脚本 音楽
撮影 編集
キャスト

Review(12)

18/05/15 01:08

あらた さんのレビュー
学び
これはジャーナリスティックな報道映画ではない。
現実を写すドキュメンタリー映画ではない。
しかし、ファンタジー映画でも、ましてプロパガンダ映画でも、ない。

試写会を拝見させていただいた。
試写後に監督は、本作の作成前に北朝鮮側の映画会社と事前に幾度も打ち合わせを行い、政治的なものにはしないと約束し、こういう人物を撮りたいと意向を伝え、双方問題ない形で撮影を行った旨述べていた。
本作は、いわば「映画監督」として撮りたいものと、北朝鮮側が見せたい、あるいは見せても構わないものの、最大公約数的なところで生まれたもののように思われる。
では、そこに見るべきものは何もないか、答えは否、である。

「北朝鮮の庶民の生活」との触れ込みを聞けば、飢えや弾圧に苦しむ庶民や独裁体制の恐ろしさを告発するような映像を「期待」してしまう。
他方で、2千万人を超す人々が一国の内で暮らすのであれば、そればかりなはずもない。
この映画に映される人々は、確かに北朝鮮側が映画化されて問題ないと考える比較的豊かな、あるいは「従順な」人々かもしれない。
が、仮にそうだとしても現にそうして生活している人々がいることに変わりはなく、また、そうした人々の生活すらも謎のベールに包まれている。
断片的ながらもそのベールを剥いだ本作は大変興味深かった。

有り体な感想を言えば、日本のテレビによくある、芸能人が田舎や外国を訪ねて現地の人と交流するような旅番組を観ているかのようだった。
政治的な事情を取り払い(あるいは行間に埋めて)、ライトなテイストで見知らぬ生活を紹介する、そんな印象である。

個人的に惜しむらくは、映画に登場する人々が北朝鮮の中で相対的にどのような位置にあるかわからず、例えば平均年収に対してどの程度の年収かなど統計的なデータが有れば、鳥瞰的な視点が加えられたように思う。
それをすると報道的すぎて監督の意図する「映画」ではなくなるかもしれないが。

18/05/30 21:36

ひでまー さんのレビュー
学び
庶民の姿といっても、所詮は政府が斡旋してくれた人たちに会っただけでは、と思うだろうが、その点を割り引いても十分興味深い内容。そこに映し出される北朝鮮の庶民の姿は、裕福なわけでも、主体思想で頭がいっぱいなわけでもない。冒頭の軍隊関係者や田舎の人々はいかにもみすぼらしい。しかしだからこそ、そうしたありのままの姿を外国に発信してもらってよいと判断した北朝鮮政府関係者の意図を読み解くべきだ。
撮影を行った時点では南北会談やら米朝会談やらはまだまだ話にも出ていない。むしろ制裁が強化されていく状況の中であった。そんな中、強がってもっといいところばかり見せるのではなくありのままの庶民の姿を見せているのは、政府としては将来外国との様々な交流が増えていくことを想定していたのでは、とも思える。そしてまた、こうした作品がどのように受け取られるのかについても注視しているのかもしれない。

20/05/08 14:18

ユナイテッドピープル さんのレビュー
学び

「北朝鮮」「制裁」。漢字ではたったの5文字。しかし映画で誰が影響を受けるのか具体的に見ることが出来た。こういう人たちが影響を受けるんだと。僕はこの映画にリアリティを見たと思う。
- 有馬嘉男(キャスター)

***

監督はドイツ国籍を取得、北朝鮮に入国したが、撮影に当たって常時、監視の目が光っていたという。そんな状況を頭に入れてこの映像を見ていくと一見、平和的な、平穏な日常に見える映像が妙にスリリングに感じられてくる。観る者の映像を読み解く能力が試されている。
─ 原一男(映画監督)

***

初海外旅行で北朝鮮に行った時のことを思い出した。システムに驚愕し、素朴な人々の姿に懐かしさを抱く。偏見をとっぱらって、まっさらな目で観てほしい。
- 雨宮処凛(作家・活動家)

23/12/21 21:34

ひろんた村母屋 さんのレビュー
元気 学び 笑える
不思議だ。。題名の通り、ワンダーランドでした。北朝鮮が「インタビューしてもいい」人や「見せてもいい選りすぐりの」場所なのだろうな、と思いながら見るのですが、作為的なものとリアルが入り混じってなんとも不思議な世界です。印象に残ったのは、私が生活している家や日本の町と比較すると、すっきりとして、ごちゃごちゃとモノにあふれていない。調理シーンで台所も映るのですが、なんというモノの少なさ!本当にここで暮らしているの??と思ったり。監督のインタビューが、よいスパイスになっているように思いました。

18/05/15 16:44

あめみー さんのレビュー
学び
試写会でチョ監督が最後にお話されていた「行間を感じて欲しい」という言葉が象徴的だった。
連日報道される北朝鮮のバッドニュースの行間に存在する生活を間接的ながら観察した。
そこには幸福も、もどかしさも、諦めもあったように感じた。
表面的な言葉や態度じゃない一瞬の違和感を、未知の国へ向ける私たちの視点と眼鏡を
映画という切り口だからできる超俯瞰的な社会思想と平和の関係性のようなものを
考え、感じて、そしてできることなら実際に足を運ぶことで、本当の理解が訪れるだろう。

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上映会主催者の声

上映会を主催された方の声を紹介します
3国で思いを馳せる
Cinema the Gaura Project  2023年02月26日
北朝鮮を取材した作品を扱うにあたり、韓国の方からの感想やコメントをいただきたいと思い、韓国出身の方をお招きした国際交流会を交えたオリジナル上映会を企画しました。

韓国出身の方曰く、この作品は韓国でほとんど観られていないとのこと(それがどのような理由でかは不明)、北朝鮮の風景や人々の笑顔に驚いた、とのことでした。また、韓国との文化や言葉の違い(夫を“世帯主”と呼ぶ、登場人物のメッセージの真意など)、日本人ではわからない気づきを数々シェアしていただけました。韓国では北朝鮮がタブー視されていた時期のエピソードには驚きでした。韓国人が北朝鮮人と話すことの緊張感、子ども時代に白頭山の歌を歌おうとして、公安に注意を受けてしまうなど。国家間の関係が民族を分断してしまう事実に脅威を感じました。

日本人参加者からは、北朝鮮の風景の美しさや日本の原風景に近く懐かしさすら感じられたこと、教育の強さ(自分も北朝鮮に生まれたらそういう思想が当たり前になるだろうと思った)、取材された人たちはある程度の地位や富裕層ではないか、などのコメントがありました。

交流会で参加者がざっくばらんに日本、韓国、北朝鮮のことを(政治体制批判を置いておいて)意見交換できたことはとても有意義でした。韓国文化紹介や韓国料理も振る舞われ、楽しいひとときにもなりました。

日本の占領時代も含め、私たちの関係は深く、朝鮮半島の課題は相互理解から解決していかなくてはならないと思いました。日本、韓国、北朝鮮がつながった貴重な時間でした。

下川すまっこシネマ 2023.2月上映会
下川りくらしネット 2023年02月25日
半年ほどの期間、毎月の上映会の時に、cinemoのラインナップ作品を壁に一覧で張り出して、観たい作品にシールを貼ってもらう投票をしてもらっていました。
そして、みんなの観たい作品リクエスト1位だったこの作品です。
ちょっと意外な気もしましたが、近くて遠い謎の国のことが、みんなとても気になっていることがわかりました。

そして、感想もいつもよりたくさんいただきました。
わからないことが多い分、疑ってみたり、想像してみたりと色々と考えるきっかけとなったようでした。

<参加者の感想>-----------------
夢中になって見ました。いい映画をえらんでもらったと感謝。
思ってたイメージとは全く違った。スローガンみたいのはとても違和感があったけど、食糧難とかもなさそうだし、いい暮らしに見えた。一部分しか見せられてないと思うけど。
どちらが本当の北朝鮮なのだろう。ますますわからなくなった感じ。こちら(日本)も知らないうちに洗脳されているのかもしれない。
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外から見るものと実際の場の差を感じる。
幸せってなんだろうと思う作品でした。
強豪チームだった学生時代の部活をおもいだしました笑
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ひごろ見ることのない北朝鮮の暮らしの一部を垣間見ることができ、貴重な機会になりました。撮影向けに準備してるなぁ〜という雰囲気が漏れ出ているシーンがいくつもあり、それがまた独特でした。。
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あらためて、朝鮮分断のきっかけとなった日本の蛮行に、一日本人として申し訳ない気持ちになりました。早く統一したいというハルモニの最後の言葉が心にしみました。
ただ、あまりにも違いすぎる国(北朝鮮と韓国)の方向性が、統一をむずかしくしていると感じました。元々は同じ民族なのに悲しいです。
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CATFLIX  2022年09月09日
北朝鮮の一部の選ばれた人達だと思うが、そんな人達の会話の中にも違和感を感じた反面、
ひとりの人間を信じて幸せだと言い切れる事に
資本主義で自由に選択できる権利のある国で悩み苦しんでいる人より幸せなのかもしれないと思ったり。でも私はやっぱり自由がいいなと頭の中でぐるぐると思考が回った。

『山のうえの映画館』
身近なメディアから伝えられるイメージで
近くて遠いお隣の国だった北朝鮮。
今作品では改めて物事を別の角度から見たり、
見えない部分は存在しないと決めてしまうよりも『想像』をしてみるという体験を監督のインタビューを通して提案してもらったようでした。

参加者の皆さんもスクリーンに映し出される<イメージしていた怖いもので100%できた国>
で生活している真面目で素朴な人々の言葉や仕草に驚き、出回っている情報の偏りに気がつくことができたとの感想もいただきました。

開催日以降、参加したかったというお声も多いので再上映会も改めて企画する予定です。

新たな交流のきっかけになりました
映画上映ののち、朝鮮族の方々と、東アジアの情勢に詳しい学者も交えて、上映&トークをしました。牧歌的な映画に映る景色や人々への好意的な意見とともに、検閲が厳しい北朝鮮では映画ではいいところしか写っておらず、実際にはもっと厳しいだろうという意見がありました。近いアジアの人々ともっとお互いを知り、繋がりたいという感想がありました。