2021ウナギネマvol. 14『シャドー・ディール 武器ビジネスの闇』
タイトルから想像していた以上に、世の中はおかしくなっている。
戦争はビジネス、各国の代表はセールスマン。
本当にこんな世の中でいいのでしょうか。
少なくとも一般市民よりは経済的に豊かだと思われる人が、より多くの富を求めます。
いったいどこまでもうければ満足するのでしょうか。
きっとあの人たちも最初はこうではなかったはずなのに。
アメリカは戦争をしていないと経済が回らない国だと聞いていましたが、まさにそれが証明された感じです。
国民の幸福よりも軍事を優先。
対テロリズムという錦の御旗を手に、終わることのない戦争で際限なく儲けていきます。
子どもたちはいつか戦争が終わると信じているでしょう。
しかし、現実には戦争を終わらせないようにする力があまりに大きすぎます。
私たちはいったいどんな言葉を子どもたちにかければよいのでしょうか。
日本の企業も、武器に転用できる技術や部品を世に送り出しています。
武器輸出禁止の三原則もいつか曖昧になっています。
日本で武器の国際見本市まで行われるようになりました。
現代の戦争はモニターの中で行われます。
そのことも罪悪感を感じさせない一つの理由となっているかもしれません。
ゲームのようにボタンを押して、でも命を落とすのは現実に生きている人間です。
争いは次の世代に何も残しません。
私たちには愛が必要なのです。
作品中で紹介された第一次大戦のエピソードが象徴的です。
対峙していた軍隊同士が一つとなってクリスマスソングを歌い、抱き合って祝福しました。
ところが、そこに将校が戻ってきて、銃を打つように命令して戦争が再開されました。
私たち人間は、個々の生物としては争いを避けるものです。
それでは終わらない争いを強要しているのはいったい?
戦争を起こす根源的な課題に思いを馳せる必要がありそうです。
今、米国は台湾有事を煽っており、日本は巻き込まれそうです。そうなったら死の商人は喜ぶことでしょう。
映画の冒頭と最後に挿入された映像に救われた思いがしました。第一次大戦の硬直した前線でクリスマスに武器を捨て、互いに駆け寄り抱擁しあった兵士達、初めに武器を捨てて敵に身をさらした兵士の勇気を思います。現実の歴史を知ると暗い気持ちになってしまいますが、私はこの兵士の勇気に学びたいです。
この映画は恐怖と不安をあおる者の存在を教えてくれました。煽りにのせられず、冷静になって平和を求めたいです。