コペンハーゲンに山を
ジャンル
環境 科学技術 社会変革 問題解決 時間 51分
製作年 2020年
監督 ライケ・セリン・フォクダル、キャスパー・アストラップ・シュローダー
老朽化した都市中心にある巨大なゴミ処理施設をどうする?
“未来都市とサステナブルな環境づくりは両立可能”と建築家ビャルケ・インゲルスは
コペンハーゲンに“人工の山”を出現させる奇想天外なアイデアを打ち出した。
VIDEO
©2020 Good Company Pictures
About the film
コペンヒル。世界初!スキーが楽しめるゴミ処理発電所へようこそ!
2011年、デンマークの首都コペンハーゲンにある老朽化したゴミ処理施設建て替えのコンペ結果発表会が行われた。白羽の矢が立ったのは、デンマークのスター建築家ビャルケ・インゲルス率いるBIG建築事務所。彼らのアイデアは飛び抜けて奇抜で、巨大なゴミ焼却発電所の屋根にスキー場を併設し、コペンハーゲンに新たなランドマークを作るというものだった。しかし、カメラは完成までの過程で、苦難の連続を追うことになる。ゴミ焼却発電所とスキー場はどう建造物として共存出来るのか?次々と疑問や課題が山積みになっていくが、難題を乗り越え2019年10月、コペンハーゲンにスキーが楽しめる「コペンヒル」が誕生。ゴミで再生可能エネルギーを作る最新鋭のゴミ焼却発電所で、年間3万世帯分の電力と7万2000世帯分の暖房用温水を供給する。誰もが行きたがらないゴミ処理施設が、誰もが行きたがる夢の施設になったのだ。
More info
ここはコペンハーゲンに出現した新たな観光名所。
ゴミ処理発電所でありながらスキー場を併設する世界初で世界最大規模の建造物!
スター建築家ビャルケ・インゲルスがクレイジーな発想でコンペを勝ち抜く
2011年、デンマークの首都コペンハーゲンにある老朽化したゴミ処理施設建て替えのコンペ結果発表会が行われた。満場一致で優勝者を発表する際、アマー・リソース・センターCEOのウラ・レトガーは歌い出すほど興奮していた。白羽の矢が立ったのは、デンマークのスター建築家ビャルケ・インゲルス率いるBIG建築事務所。彼らのアイデアは飛び抜けて奇抜で、巨大なゴミ焼却発電所の屋根にスキー場を併設し、コペンハーゲンに新たなランドマークを作るというものだった。しかし、カメラは完成までの過程で、苦難の連続を追うことになる。ゴミ焼却発電所とスキー場はどう建造物として共存出来るのか?予算内に完成出来るのか?次々と疑問や課題が山積みになっていく──。
誰も行きたがらなかったゴミ処理場が観光名所に!
難題を乗り越え2019年10月、コペンハーゲンに新しい“山”が誕生。完成に9年。かかった費用は約5億ユーロ。デンマークの景色を楽しめるこの山「コペンヒル」の標高は85m、全長450mでゲレンデ幅は60m。4つのリフトでスキーが楽しめる。ゴミで再生可能エネルギーを作る最新鋭のゴミ焼却発電所で、年間3万世帯分の電力と7万2000世帯分の暖房用温水を供給する。屋上にはレストランやハイキング・ランニングコース、壁には世界一高い85mのクライミングウォールが設置されている夢のような施設だ。誰もが行きたがらないゴミ処理施設が、誰もが行きたがる夢の施設になったのだ。
Data
原題
Making a Mountain
製作年
2020年
製作国
デンマーク
制作
グッドカンパニーピクチャーズ
配給
ユナイテッドピープル
時間
51分
Cast & Staff
監督
ライケ・セリン・フォクダル、キャスパー・アストラップ・シュローダー
製作総指揮
プロデューサー
カトリーヌ・A・サールストロム、キャスパー・アストラップ・シュローダー
原作
脚本
ライケ・セリン・フォクダル、キャスパー・アストラップ・シュローダー
音楽
ラスムス・ウィンター・イェンセン
撮影
ヘンリク・ボーン・イプセン、ユッタ・マリー・イェッセン、キャスパー・アストラップ・シュローダー他
編集
ライケ・セリン・フォクダル
キャスト
ビャルケ・インゲルス、ウラ・レトガー他
上映者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
カワラカエルシネマ(KKC) Vol.02 ~コペンハーゲンに山を~
『カワラカエルシネマ』第2回目
上映作品は【コペンハーゲンに山を】
今回の上映作品チョイスは、ARBOR BOOKSオーナーの久木田がチョイス。
以下、上映会参加者の声を一部ご紹介。
「建築学研究科修士の大学院生です。建築業界では、CopenHillはとても有名で、この映画をずっと観たくて楽しみにしていました!」
「今年から新卒1年目、建築事務所で働いています。卒業旅行で実際にCopenHillに行ってきました。行った後に、この映画をこうして観れて、とても深い気づきがありました。とても良かったです。また行きたくなりました。」
「昔から繰り返し行われてきたものには合理性やそうなっている意味がある。過去に、ごみ処理施設xスキー場を組み合わせた建築がなかったのには、そうできない理由がある、というのが取り組み中の今ならわかる。という趣旨の建築事務所代表の語りがあり、なるほど、と思った。」
などなど。
第3回目8月は小野沢チョイス『変身 - Metamorphosis』原発メルトダウンを追ったドキュメンタリー)の上映を予定!
展示会会場内で無料での上映会でしたが、参加された皆さん熱心に視聴されており、途中退席もほぼなく、「非常に興味深かった」「もっと詳しく知りたい」などの声が聞かれました。
必要としてくださっている方が多く、またこういった催しを続けていきたいと思いました。
5月の「からびなシネマ」上映作品は、デンマーク・コペンヒルの挑戦を描いた『コペンハーゲンに山を』(原題:Making a Mountain)。ゴミ焼却発電所の屋上に人工スキー場をつくるという突飛とも思えるプロジェクトが、長い歳月と数えきれない議論、そして情熱によって現実の風景になっていく過程を追った作品です。
上映後は、作品から感じたことを共有しあう「感想シェア」の時間を設けました。今回もさまざまな視点からの声が集まりました。
とりわけ印象的だったのは、「都市のど真ん中に、あえてゴミ焼却施設をつくったことに驚いた」という声。多くの都市では、こうした“見たくないインフラ”は郊外に追いやられるのが常識ですが、コペンハーゲンではそれを真逆に捉え、都市の中心に置くことで人々の意識に「共にある」ものとして位置づけました。その姿勢に、参加者からは「目を背けるのではなく、むしろポジティブに捉え直すという視点に学びがあった」という声も。
また、「一度訪ねてみたい」という声も複数寄せられました。それは単なる観光的興味ではなく、「あんな未来的な風景が、現実に存在している」という驚きと、体感を通じてその思想に触れたいという知的好奇心の表れでもあると感じました。
この作品は、単なる建築ドキュメンタリーではありません。そこに描かれていたのは、都市計画や建築の未来だけでなく、「私たちは、どんな社会で、どんな風景に囲まれて暮らしたいのか」という本質的な問いでした。ゴミという負の資源をどう再定義するか、経済と環境の両立をどう可能にするか、そしてありえないと思われたアイデアをどう現実にしていくか・・そのすべてが、いま私たちの地域や社会が直面している課題とも地続きのテーマです。
まちづくりにおいては、往々にして「前例」が重視されますが、未来を切り拓いていくには、“前例のないこと”にどう向き合うかが問われます。からびなシネマでは、今後もこうした問いを内包する作品を通じて、地域のなかに静かに思索と対話を生む場を育てていきたいと考えています。
多額の予算を費やして、ゴミの焼却施設を新たな街の象徴として、作られたコペンヒル。
日本の都市の真ん中に同じものを作ることは難しいだろう。それがなぜデンマークでは可能だったのか、また、焼却施設をスキー場にする必要はあったのか、などいろんなディスカッションを行った。環境ジャーナリストの明石純子さんが、昨年、コペンヒルを訪問したことをシェアしてくれる動画もみんなで鑑賞し、より深くコペンヒルを理解する映画上映会&シェアリングとなった!