役立たずのダムを取り壊せ
すべては川の自由のために。常識を覆した挑戦者たちのドキュメンタリー。
僕が2013参院選で主張した「破壊から再生の公共事業へ」を、
まさに地でいく動きが今、破壊のオオモトである米国で起きている。
日本の環境運動に(或いは社会に)、決定的に欠如している
「とんちとユーモア」をまざまざと見せつけられる。
あらゆる環境運動に関わっている人々に、
あるいは国の現状を憂いてそれを変革しようと小さな足掻きを営んでいる人々に、
必ず観てほしい映画である。
- 三宅洋平((仮)ALBATRUS/NAU代表)
今や諸悪の根源は、一人一人の小さな無責任。
今を生きる私達が気付き、動き出さなきゃならないんだ!
- 伊勢谷友介(俳優/映画監督/株式会社リバースプロジェクト代表)
各界著名人のおすすめメッセージはこちら!
http://damnationfilm.net/message/
About the film
小さい頃、自分で散らかしたものは、自分で片付けるように教えられる。
それは私たちの“家”である地球に対しても言えるはずだ。
破壊的ですぐ役立たなくなるダムを建てたのなら、
それを片付け、自然を元通りにする責任が私たちにはあるはずだ。
- イヴォン・シュイナード(パタゴニア創業者、映画『ダムネーション』製作責任者)
アメリカにおいて「ダムを建設し増やしていくこと」が主流だった50年前から、
「ダムを撤去する」という選択肢へと移り変わってきた現代までを、
川の自由を求め続けてきた、さまざまな活動家に光を当てて追いかけます。
More info
破壊すべきダムがあるかぎり
“ダムバスター”は挑戦し続ける
アメリカ全土につくられた7万5千基のダム。それらの多くは、川を変貌させ、魚を絶滅させ、それにもかかわらず期待される発電・灌漑・洪水防止のいずれにおいても低い価値しか提供していない。むしろダムの維持には高い経済的コストもかかっている。そんな負の面ばかりのダムを「撤去」する選択が、アメリカでは現実になってきた。だが「ダム撤去」が当たり前に語られるようになるまでには、「クレイジー」と言われながも川の自由を求め続けてきた人びとの挑戦があった。彼らのエネルギーにより「爆破」が起こるドキュメンタリー。
自然の良さは人間が何もしなくてもいいこと。
ただそのままにしておけばいい。
地球の血管にも例えられる川。ダムが及ぼす影響は、私たち生き物すべてに及ぶ。ダムが撤去されたとき時、川は解放され、みずから元の姿に回復していく。本作品が映し出す川の生命力と美しさは、人間も自然の一部なのだということを改めて気づかせてくれる。そして、技術により自然を征服してきた過去と決別し、新しい未来をつくりだす希望の光を見せてくれる。製作責任者はパタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード。共同プロデューサーは生態学者で水中写真家のマット・シュテッカー。
Data
原題 |
DAMNATION |
製作年 |
2014 |
製作国 |
アメリカ |
制作 |
シュテッカー・エコロジカル&フェルト・ソウルメディア |
配給 |
ユナイテッドピープル |
時間 |
87分、52分 |
Cast & Staff
監督 |
ベン・ナイト&トラヴィス・ラメル |
製作総指揮 |
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プロデューサー |
ベーダ・カルフーン |
原作 |
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脚本 |
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音楽 |
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撮影 |
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編集 |
ベン・ナイト |
キャスト |
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上映会主催者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
日本は土木王国だ。
かつて、国会議員にも砂防族というのがいた。
ダムを初め、河川の護岸など水害の防止のための公共事業に利権を持ち、全国津々浦々、土木業界の支持を集めたらしい。
そんな日本の事情はなんとなくわかっていたが、アメリカがまさかの日本を上回るようなダム王国とは知らなかった。
こんなにも沢山のダムを短期間に作って、どれだけの公共投資をしたんだろう。
ほんとに役にたったのか?
作中で検証されたいくつかは、必要性が疑問視されるもの、自然回帰を願う人々の手で取り壊されるものもあった。
パタゴニアの制作。
映像も綺麗だし、センスもいい。
ダム建設予定地の渓谷を遡った記録映像が
ノスタルジックでもあり、モダンでもあり、
こんな風に自然の中で解き放たれるのって
羨ましいな、と思った。
老いてなお、活発に活動する彼女の日焼けした笑顔と深い皺が歳月を物語っていた。
人の一生にも満たない、たった数十年のスパンで、大自然を壊したり、また復活させようとしたり。
自然がいまの姿になるまでの時間を考えると
なんと短い…。
擦り傷程度なのかも知れない。
所詮人間のすることはなんて。
ダムを壊してからの自然の回復力に自然の偉大さを感じました。
ダムやメガソーラー、人間の愚かさや傲慢さにガッカリする反面、人間だから出来る知恵を絞って共存の道が探せないものかと感じました。
今月2回目の「ダムネーション」の上映会を行いました。
(前回の報告は別途投稿しております。そちらもご覧ください。)
ご参加いただいた人数は多くないものの、皆さま映画を真剣にご覧になられ、感想共有の時間ではそれぞれが感じられたことをお聞きできました。
参加された方からも、他の人の話を聞くことで新たな視点で映画を見ることができたように思う、と感想をいただきました。
感想の一部をご紹介します。
* * *
・水力発電でダムが必要ではあるが、一度壊れた生態系を戻すには時間が必要ですね。
・アメリカでダム破壊が進んでいることを知らなくて驚いた。公共事業でも過ちもある。このようなイベントは今後も参加していきたいです。
・環境保全と、エネルギーミックス(電力供給)、地域の生活(仕事)とのバランスが難しいと思いました。
・答えのない難しい問題。
・ダムをつくることで大きく環境が変化することを知った。
* * *
今まであまり考える時がなかったことを考える機会になった、というお声もありました。
「とても有意義な時間でした。この映画を上映してくださってありがとうございます。」「この上映会を続けてほしい」「広まってほしい」
という上映会自体に対する感想もいただきました。
有意義に感じていただけていることが幸いです。
これからも私たちの生活と自然環境への関わりや課題について、考えるきっかけになる上映会にしていきたいと思います。
人間が自然に与える影響と、自然の生命力を感じる作品
10月から当館で「みずら考える上映会」が始まり、今回で3作品目の上映となりました。
この映画が伝えるのは「すべてのダムを取り壊すべき」というメッセージではなく、「人間は自然の一部である、人間が作るものが自然に及ぼす影響は大きい」ということだと感じられたので、上映作品として選びました。
映画を見終えて、映画の終盤にあった「一つひとつが役に立っているか、(マイナスの影響ばかり及ぼしていないかを)精査して判断していくべき」という言葉の通り、ダムに限らず、人間がつくるもの全てに通じことであると思います。
参加者の中からも「小中学生の環境学習にとても良い作品」というご意見もありました。
そのくらい、私たちの生活にあるものと自然とのバランスを考えさせられるとても良い作品だと思いました。
参加された方から寄せられた感想の一部です。
* * *
・治水ではく水力発電のためダムをこれだけつくり、壊されても自然を取り戻してきていることに驚いた。
・建設に関わる利権が問題だと改めて感じた。
・自然の回復力には人間の考えが及ばないことが大きい。
・自然は強い。人間と動植物との共存を考えた。
・電力は必要、だからこそ難しい。
・映像が美しかった。
* * *
感想共有タイムは20代の参加者もいらっしゃり、おじい様のお仕事が環境に与える影響についてのお話などもしていただきました。
今回も幅広い年代の方のバックグラウンドやご意見をお聞きできて良い時間になったと思います。
開催場所の目の前にダムがある環境でこの映画を上映することは、大げさに言えば反社会的勢力とみなされるかもしれないと冷や冷やしていましたが、ひとまず表立ってのクレームはありませんでした。チラシのコピーが、ちょっと過激なんですよね。。
半ば苦し紛れに「この上映会はダムの是非を問うものではなく、身近な存在であるダムについて考えるきっかけとなることを願うものです」と謳っての上映でしたが、なかなかどうして、そういった目的に適した内容だったかと思います。さすがはpatagonia社による製作、とでもいいましょうか。
終了後の感想シェアでは、ダムの耐用年数に話が及んだり、川釣りを愛好する参加者からの率直な意見が飛び出したりと、人数は少なかったですが(あるいは少なかったからこそ)活発な交流ができたかと思います。
主として3つのエピソードが多重的に展開されるその構成と映像美は、純粋に映画として楽しむにも充分でした。試写から何度もみていた主催者も、飽きずに観ることができました。
無闇に環境問題や社会問題の危機を叫ぶよりも、この映画を見て社会的インパクトを生み出すためのユーモアと覚悟を学ぶ方が有意義かもしれません。もっと世に出ていい映画だと感じました。
1997年アメリカのエドワードダムで始めて撤去命令が出たとのニュースを聞き、以後ダム撤去の情報を集めてまわったものだ。
2000年、ダムを電力会社から買い取って撤去するというペノブスコット川のニュースが届いたときは、その規模と進度に驚いたものだ。以後細々と次々とニュースは届けられてきたが、それでも届かなかった人たちへ、「ユーモア溢れる映画」という形でその情報が届くようになった。それがダムネーションだった。映像を通じ「あの巨大なダムでも撤去できるのだ」という驚きは確実に広がっているように思う。その驚きはライト兄弟が空を飛ぶ姿を見た時の「人は空を飛べるのだ」というブレイクスルーと似ている。
社会的に手法や技術が洗練されると撤去という選択肢がごく当たり前に選ばれるのだと思う。当然社会に必要とされているダムではなく、問題が多いダムから順次手が入るだろう。多くの事例をもとに、撤去に対するアイディアや手法が次々と生み出されている。
2011年に小樽の奥沢ダムがコストと安全性のためにさらりと用途廃止され、一部撤去された。驚くべきことに、たいして大きなニュースにならなかった。ダム撤去という手段が、センセーショナルなものではなく、改修やメンテナンスのようにごく当たり前の選択肢であって欲しいと願う。管理者がだれであれ、行政が撤去費用を支出するということもまた、問題を解決するために必要な形であり、仕組みは徐々に洗練されていくだろう。なにしろ日本にもまだまだ多くのダム撤去要望地がある。撤去するしないにかかわらず、撤去に関する議論が起きた土地に、この映画が広く届くことを願ってやまない。「撤去はありえないこと」として選択肢にすら入れられず、ただ問題の先送りと税金の無駄遣いとなる対策を選択してしまうのを防ぐことが出来るかもしれない。
2017年夏、私は荒瀬ダムが撤去され戻ってきた球磨川の流れを用いたラフティングやアユ釣り体験のツアーを行う会社を興した。今でも時々ツアーで川の流れの上にありながら、そこにあったあの巨大なコンクリートの塊を思い出し夢ではないかと思うことがある。ダム撤去で戻った流れで遊んだ後、お客様と共にダムネーションを見る。お客様の反応を見ながら、さらなる球磨川の未来を、日本の川の将来を想像する。5年後には、このレビューもまた時代遅れになっていて欲しい。
Reborn代表・リバーガイド 溝口隼平
https://www.facebook.com/rebornkumagawa/