よみがえりのレシピ
ジャンル
環境 伝統文化 時間 95分
製作年2011年
監督 渡辺智史
おいしくて、そして心に効くドキュメンタリー映画
在来作物と種を守り継ぐ人々の物語
(c)映画「よみがえりのレシピ」製作委員会
About the film
【製作意図】
在来作物は何十年、何百年という世代を超え、味、香り、手触り、さらに栽培方法、調理方法を現代にありありと伝える「生きた文化財」である。しかし高度経済成長の時代、大量生産、大量消費に適応できず、忘れ去られてしまった。社会の価値観が多様化する現代に、足並みを合わせるように在来作物は、貴重な地域資源として見直されている。在来作物を知ることは、食と農業の豊かな関係を知ることにつながる。地域に在来作物がよみがえり、継承されていく姿は、豊かな食を味わい、楽しむ姿であり、地域社会の人の絆を深め、創造する姿である。この動きを日本全国、さらには世界中で起きている食や農業の問題への処方箋(レシピ)として、伝えていきたい。
More info
栽培者自身が種苗を管理し守ってきた在来作物(ざいらいさくもつ)は、世代を超えて地域に受け継がれてきました。しかし品種改良された作物より収量が少なく、病気にも弱いことから市場で評価されず、多くは消失してしまいました。そんな時代に独自の料理法で在来作物の存在に光を当てた“山形イタリアン”「アル・ケッチャーノ」の奥田政行シェフ。野菜の個性的な味・食感・香りを生かした料理には、新鮮な魚介や肉と、地域の風土や物語も盛り込まれます。また焼き畑農法を研究する江頭宏昌先生は「ここにしかない価値」を秘める在来作物が地域再生の起爆剤になると確信しています。さらなる主役は、手間を惜しまず種(たね)を守り続ける農家の人たち。その笑顔と心意気を感じることで、何気ない日々の生活が少しだけ違って見える、そんな魅力が『よみがえりのレシピ』には溢れています。
Data
原題 |
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製作年 |
2011年 |
製作国 |
日本 |
制作 |
映画「よみがえりのレシピ」製作委員会 |
配給 |
映画「よみがえりのレシピ」製作委員会 |
時間 |
95分 |
Cast & Staff
監督 |
渡辺智史 |
製作総指揮 |
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プロデューサー |
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原作 |
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脚本 |
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音楽 |
鈴木治行 |
撮影 |
堀田泰寛 |
編集 |
渡辺智史 |
キャスト |
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上映者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
第18回マチリノシネマは、再上映となる「よみがえりのレシピ」。これまで上映した中でも3本の指に入るくらい好きな映画で、前回上映したときも、みなさん「よかった!」と…中には涙する方も。
舞台は東北、庄内地方。
東北弁のおじいちゃん、おばあちゃんが登場するシーンでは、日本語だけど字幕付きです(笑)
イタリアン「アルケッチャーノ」のお料理は、みなさん「おいしそうだったね!」と。名もなき人々が守り続けてきた在来種のお野菜を、プロの料理人が見事素晴らしいお料理によみがえらせました。
参加してくれた方が、とても素敵なシェアを。
「実家が岩手なので、子どもの頃、映画に出てきた菊の花を湯がいたお料理、祖母がよくだしてくれました。子どものわたしには、それが苦くて苦くて、嫌でたまならなかった。その時のことを祖母との思い出と共に、なんだか切なく思い出しました。食べ物って、単にカジュアルな美味しい思い出だけじゃなく、後になって振り返ったとき、いい感じに熟成されてる。それがいいんですよね」
映画のなかでは、そのことを「食べ物を通して“感性の共有”をする」と表現されてました。キュウリひとつとってみても、在来種のキュウリ(この作品では外崎キュウリ)は皮が薄く、その近くに苦みがあり、そのあとキュウリの旨みが広がる。
学校で自分たちが育てた在来種のキュウリを味わう子どもたち。一口食べて、ちゃんとキュウリそのものを感じて表現する姿に、希望を感じて涙がでそうに。
食べやすいことを追求した品種改良、それは決して悪いことではないのだけど、“感性の共有”という点では本来の存在感がうすらぼやけてしまうのかも。
そう感じるのは、野菜も人間も同じなのかもしれないですね。
これからも、地球とつながる、大地とつながる、そんな作品を上映していきたいと思います。
在来作物を育てる人、それを料理に使って広める人、
良い循環ができていることに感動しました。
まさに「よみがえりのレシピ」でした。
野菜を使ってもらえる、食べてもらえるから、
作ることができる、後継者もできる。
本当にステキです。
各地で、こうした取り組みができれば、
どんなに豊かな国になることでしょう。
アル・ケッチャーノにも伺いたくなりました。
みんなでツアー組んで行きたいね!という声も。
食に関心のある皆さんが集まってくださいましたが、
皆さん一様にもっと多くの方に観てもらいたいとも
お話してくださいました。
東北、山形のことばで朴訥と語られることばは、迫真の凄みとともに胸にすっと入ってきて、深く腹落ちしました。
奥田シェフと大学の先生と農家の方
の三者で話すことや、シェフが生み出す見事な料理、そのもとにもなる様々な魅力溢れる在来作物に目を奪われるとともに、いつか、きっと食べてみたいと強く味覚と空腹が刺激されました。笑
映画は10年以上前の作品でしたが、ウェブで調べたところ、レストランと奥田シェフは幸いにもご健在の様子(いや、ますます勢いを増していそうな雰囲気)で、山形、行きたい。
しかしとりわけ、ハッとしたのは、焼き畑農業のシーン。このところ山火事のニュースも多いですが、見事なまでの、火のコントロール、そして終わったあとの美しい炭色から一面の蕪の葉の緑。こんなことが、できるなんて。焼き畑農業のことを初めて具体的に知りました。まさに、自然と人間の相互作用?共同作業?で、生きることのリアリティが強烈に響いてきました。ただ、1.年以上経って、いまはどうなっているのだろうか、、、と、レストランとは逆の想像を膨らませてしまいました。。。
果たして、我々の社会は、なにを得て、なにを失っているのでしょうか。
在来種の種を継ぐ。消えたと思われた在来種作物を純度高く、ひたすら守り続けた何者でもない人と、
次の世代にも受け入れられるよう、新しいカタチによみがえらせたプロフェッショナル。どちらも必要な役者であり、主役でした。でも、本当の主役は…種であり、自然であり、その土地の風土であったのかもしれません。終わったあとのシェア会でも、印象的なシーンはそれぞれに違うシーンだったり、作品が出来上がってから大分時間のたった今だからこそ、込み上げる想いは色々あって、ひと言では言い表せられない。日本版種の映画、感動しました。
農業や食に興味のある方が集まってくださり、ほとんど満席の開催となりました。
常連のお客様が伝統野菜を持ってきてくださったりと、有意義な会になりました