老朽化した都市中心にある巨大なゴミ処理施設をどうする?
“未来都市とサステナブルな環境づくりは両立可能”と建築家ビャルケ・インゲルスは
コペンハーゲンに“人工の山”を出現させる奇想天外なアイデアを打ち出した。
News
- 2023/05/19
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©2020 Good Company Pictures
About the film
コペンヒル。世界初!スキーが楽しめるゴミ処理発電所へようこそ!
2011年、デンマークの首都コペンハーゲンにある老朽化したゴミ処理施設建て替えのコンペ結果発表会が行われた。白羽の矢が立ったのは、デンマークのスター建築家ビャルケ・インゲルス率いるBIG建築事務所。彼らのアイデアは飛び抜けて奇抜で、巨大なゴミ焼却発電所の屋根にスキー場を併設し、コペンハーゲンに新たなランドマークを作るというものだった。しかし、カメラは完成までの過程で、苦難の連続を追うことになる。ゴミ焼却発電所とスキー場はどう建造物として共存出来るのか?次々と疑問や課題が山積みになっていくが、難題を乗り越え2019年10月、コペンハーゲンにスキーが楽しめる「コペンヒル」が誕生。ゴミで再生可能エネルギーを作る最新鋭のゴミ焼却発電所で、年間3万世帯分の電力と7万2000世帯分の暖房用温水を供給する。誰もが行きたがらないゴミ処理施設が、誰もが行きたがる夢の施設になったのだ。
More info
ここはコペンハーゲンに出現した新たな観光名所。
ゴミ処理発電所でありながらスキー場を併設する世界初で世界最大規模の建造物!
スター建築家ビャルケ・インゲルスがクレイジーな発想でコンペを勝ち抜く
2011年、デンマークの首都コペンハーゲンにある老朽化したゴミ処理施設建て替えのコンペ結果発表会が行われた。満場一致で優勝者を発表する際、アマー・リソース・センターCEOのウラ・レトガーは歌い出すほど興奮していた。白羽の矢が立ったのは、デンマークのスター建築家ビャルケ・インゲルス率いるBIG建築事務所。彼らのアイデアは飛び抜けて奇抜で、巨大なゴミ焼却発電所の屋根にスキー場を併設し、コペンハーゲンに新たなランドマークを作るというものだった。しかし、カメラは完成までの過程で、苦難の連続を追うことになる。ゴミ焼却発電所とスキー場はどう建造物として共存出来るのか?予算内に完成出来るのか?次々と疑問や課題が山積みになっていく──。
誰も行きたがらなかったゴミ処理場が観光名所に!
難題を乗り越え2019年10月、コペンハーゲンに新しい“山”が誕生。完成に9年。かかった費用は約5億ユーロ。デンマークの景色を楽しめるこの山「コペンヒル」の標高は85m、全長450mでゲレンデ幅は60m。4つのリフトでスキーが楽しめる。ゴミで再生可能エネルギーを作る最新鋭のゴミ焼却発電所で、年間3万世帯分の電力と7万2000世帯分の暖房用温水を供給する。屋上にはレストランやハイキング・ランニングコース、壁には世界一高い85mのクライミングウォールが設置されている夢のような施設だ。誰もが行きたがらないゴミ処理施設が、誰もが行きたがる夢の施設になったのだ。
Data
| 原題 | Making a Mountain | 製作年 | 2020年 |
|---|---|---|---|
| 製作国 | デンマーク | 制作 | グッドカンパニーピクチャーズ |
| 配給 | ユナイテッドピープル | 時間 | 51分 |
Cast & Staff
| 監督 | ライケ・セリン・フォクダル、キャスパー・アストラップ・シュローダー | 製作総指揮 | |
|---|---|---|---|
| プロデューサー | カトリーヌ・A・サールストロム、キャスパー・アストラップ・シュローダー | 原作 | |
| 脚本 | ライケ・セリン・フォクダル、キャスパー・アストラップ・シュローダー | 音楽 | ラスムス・ウィンター・イェンセン |
| 撮影 | ヘンリク・ボーン・イプセン、ユッタ・マリー・イェッセン、キャスパー・アストラップ・シュローダー他 | 編集 | ライケ・セリン・フォクダル |
| キャスト | ビャルケ・インゲルス、ウラ・レトガー他 | ||
Review(2)
26/07/17 11:17
理想と現実との間にたち現れた「山」とそこに響く歓声は、ゴミを視界の外に排除する上に成り立つ現代社会の「快適さ」を根底から覆す可能性に満ちている。
――開沼博(東京大学大学院情報学環・学際情報学府 准教授)
ゴミ処理における毛五毛作(ゴミ処理、リサイクル、発電、熱供給、スラグの資源化)にも飽き足らず、そこを『山』に見立てることで生まれる新たな視界、文化、そして公と私の融合。
当たり前を疑い、あったらいいなを臆することなく実現するデンマーク・スタイルがここにも。
――ニールセン北村朋子(文化翻訳家/Cultural Translator)
いかにもデンマークらしいプロジェクトのひと言。
また、非常にクリエイティブであること、縦割りを越えて柔軟でアジャイルに進められていること、市民(ユーザー)から見たまちづくり全体の視点が貫かれていること、何よりもデモクラシーに支えられていること。
映画には出てきませんが、デンマークのゴミ焼却場は全てコジェネになっており(小規模なものはボイラーのみ)、発電とともに地域熱供給の重要な熱源になっていて、デンマークの再エネ100%への重要な役割を担っています。
――飯田哲也(環境エネルギー政策研究所(ISEP) 所長)
初めてコペンヒル構想を聞いた時、ビャルケの天才ぶりと奇想天外な課題解決アプローチに感動したのを覚えている。この超先進的プロジェクトが様々な難題を乗り越えながらついに現実に建設されるまでの道のりを見られて、めちゃくちゃ楽しかったし勉強になった!
――Sputniko! /スプツニ子!(アーティスト/ 東京藝術大学デザイン科准教授)
建築家ビャルケ・インゲルスの創造的で革新的なプロジェクトは、日本でも有名だ。でもその制作プロセスはこの映画を見るまでブラックボックスだった。
予算オーバーでも創造性を重視するか、予算内に納めるか。だした答えは明快。「だって人々はインゲルス作品を見にくるのよ!」そう、常識と戦いつづけるのだ。
――林 千晶(株式会社Q0 代表取締役社長)
上映者の声
処理施設を山にして、人々が集う場所にすること、
マイナスのモノをプラスに転換することが素晴らしいですね。
ただ、環境的な作品というよりも、建築に興味のある方におススメな気がします。
参加者の方からは、
地域にも、環境に配慮したこのくら尖がった施設があったら良いという意見や
逆に、新しい施設を作るということは、維持管理が必要なので、未来に渡って良いことかという意見などがありました。
薪窯のパン店で、薪を燃やし、パンを焼く中、この熱源で発電できたらいいのに…と、以前から思っていることをお話する機会にもなりました。
現代は「Making the mountain」
実にシンプルですが、まさにそのままの内容の映画です。
築40年以上が経ち、ゴミ焼却所の建て直しをすることに。
その際のコンペにおいて、満場一致で選ばれたのは「山をつくる」企画。
ゴミ焼却&発電所の屋上に、夏でも滑れるスキーゲレンデを設置。
のみならず、ちょっとしたトレッキングなども可能で、季節の変化を楽しむことができる木々も植えられています。
高さ100mほどのビル外壁では、ボルダリングを楽しむ人の姿も。
まさにコペンハーゲンに新しく山ができたのです。
この映画を観た人は間違いなく、自分自身の消費スタイルを見直すでしょう。
問題は、ほとんどの人がこの映画を観ていないこと、そして観ようとしていないことです。
作中に登場するデザイナーの言葉は多くの示唆に満ちています。
その中で、もっとも印象深かったのは、以下の一節。
「私には1歳のこどもがいるが、彼にとっては、ゴミ発電所の屋上でスキーをすることは、まったく当たり前の日常となります」(表現はちょっと違うかもしれません)
今の私たちのとっては違和感のあることでも、これからの未来に生きる世代にとっては、当たり前の日常となるわけです。
思えば、スマホもリモート会議も、ほんの数年前までは見慣れぬものでした。
そして今、私たちはそれを日常のものとして誰もが自由に使っています。
自由な発想による未来の創造への期待。
新しい日常の獲得が実感できる感動。
1時間未満の短い上映時間ですが、さまざまな気づきと喜びを与えてくれる作品です。
ぜひみなさんも機会を見つけてご鑑賞ください。
※「日本では絶対に無理だろうな」という寂しさも同時に味わえます。
次回のウナギネマは、6/23(金)〜25(日)の3日間です。
上映作品は『1日1ドルで生活』。
56日間 56ドルの所持金で貧困をサバイバル体験
グアテマラの貧困地域で2ヶ月間たった1日1ドルで生活した若者たちの実践ドキュメンタリー
「極度の貧困の中で人生の困難と希望を見出せる必見の映画」
-ムハマド・ユヌス(ノーベル平和賞受賞者)
詳細はこちらから。
http://unaginema.com/2023/05/24/2023ウナギネマvol-3『1日1ドルで生活』/
#映画 #SDGs #ソーシャルシネマ #cinemo #unitedpeople #ウナギネマ #福岡 #柳川 #ドキュメンタリー
映画では、コペンヒルが出来るまでの流れが、音楽と共に現場の熱気が伝わってくるインパクトに引き込まれるあっという間の50分間でした。
中高生が観ても分かりやすく、かつ臨場感もあり、上映後に子どもたちから面白かった!という声がでるほど、まさに建築家ビャルケ・インゲルスの“未来都市とサステナブルな環境づくりは両立可能”とは、どういうことかを体感できる機会になりました。














ビャルケ・インゲルス氏を初めて知りました。日本の有力な建築家には何人かに直接お会いし、そのお人柄なども触れ合う機会にも恵まれ知識がありましたが、コペンヒルのような発想と迫力を持つ考え方には大変驚きました。建築界でも世界レベルは高いと思いました。ちょうど、デザイン誌で特集が組まれて、また日本でBIGの建築したホテルの開館するタイミングでもあり良かったと思います。
また、イノベーション創出の過程を学ぶ教材として優れているだけでなく、作中で困難に立ち向かう財務担当の女性責任者の姿にも深く胸を打たれました。ジェンダー・イノベーションのあり方がごく自然な形で描かれていた点も素晴らしいと感じます。
さらに、満場一致で選ばれた素晴らしいコンペ案であっても、また、豊かな国のデンマークであっても現実の資金計画には多大な苦労が伴うという厳しい事実を知りました。誠実に題材として取り上げている点に大きな意義を感じます。
両監督の日本人へのメッセージ(別のヴィデオ)がまっすぐに伝わり、デンマークの豊かな幸福感を肌で感じました。この作品の秀逸性を事前にキャッチできました。コペンヒルが完成し稼働した後のコペンハーゲン市の市民の意識変化や実際の生活環境、温水管への接続、エネルギーへの代替状況など、社会実装されたデンマークの状況なども、当日の一緒に視聴したヴィデオ鑑賞者の皆さまと共に関心を持つことができました。
私はコペンハーゲン、コペンヒルに訪問後に、報告書をまとめている段階にこの映画の存在を知りました。事前に見る機会や情報がありませんでしたので、デンマークを訪問する人にはぜひ事前に見ていただきたいと思いました。デンマーク訪問後に見るよりも、事前に見る方が良いヴィデオ作品です。