『静大サステナ映画館』の第9回上映会のご報告をします。3月5日(木)に、第9回『静大サステナ映画館』を開催し、「デリカド」を上映しました。今回は、大学生・一般合計6名が視聴しました。
この映画は、フィリピン・パラワン島の“最後の秘境”を命懸けで守ろうと闘う環境保護活動家たちを追ったドキュメンタリーです。“最後の秘境”に外国人観光客を呼び込みたい政治家たちは、違法伐採や違法漁業の取り締まりをしないばかりか、地元の環境保護団体パラワンNGOネットワーク(PNNI)に圧力をかけます。銃で武装した違法業者と命懸けで対峙し、犠牲者を出しながらも雄大な生態系を守るため、政治家や実業家を相手に島の未来を懸けて闘う姿が描かれます。“経済発展”か“自然保護”か、“命を懸ける”活動とは何か、考えさせられる映画でした。
視聴後、絶句してしまい、誰も話し出すことができませんでした。重い口を開いた参加者のみなさんの感想は以下の通りです。
・ 日本では放置林問題があるが、フィリピンでは違法伐採の問題があり、命懸けで闘っている人がいることが分かった。命を懸ける必要があるのか、考えさせられた。
・ 違法伐採者側は武装していたが、PNNIの方は丸腰で向かい、さらに捕まえても違法伐採者を逮捕しなかった。相手は改心しないかも知れない。これで良かったのだろうか。
・ 違法伐採者の多くは雇われ人で、貧しさゆえに伐採してしまったようだった。闘うべきは伐採者たちではなく、それを命令した相手なので、チェーンソウだけを没収していたのだろう。
・ 我々には、こんなにも守りたい故郷や自然はあるのだろうか、彼らのパワーに圧倒させられた。
・ The last frontierがthe lost frontierになる、というボビー・チェン弁護士の言葉は印象に残った。
・ この映画は、環境保護の立場で描かれているが、開発する側からすれば、手付かずの自然がいっぱいあるのだから使わないという選択肢はなく、国を豊かにするために開発すべき、ということになるのだろう。合法的な開発にはならないのだろうか。
・ 大統領、州知事が開発を促進し、環境保護活動をしているエルニドのニエヴェス元町長を貶めるような発言をするなど、政治・利権が絡んでいて、今後のフィリピンの状況はまだまだ明るくないことを知った。
参加者のみなさん、有難うございました。















森が泣いている。
静かな葉擦れの音の裏で、木々が倒れ、土が裂ける。
誰かが守ろうとする度に、影が忍び寄る。
それでも、彼らは立ち続ける。
風のように、雨のように。
恐れを超えて、大地に誓う。
この緑は、未来へと続く命なのだと。
スクリーンの向こうの叫びが、僕の胸を締めつける。
見終えた今、自身に問いかける。
「僕らはこの手で何を守れるのだろう?」
――SUGIZO(ミュージシャン)
『資本論』でカール・マルクスはこう述べた。資本主義は「頭から爪先まで、あらゆる毛穴から、血と汚物とをしたたらせながら、この世に生まれてくる」。これは現在進行形の金と資本をめぐる血に塗れたドキュメンタリーである。あまりにも大きな国家と資本の力の前に、何ができるのか。答えはないが、現実から目を背けてはならない。
――斎藤幸平(『人新世の「資本論」』著者)
毎年、森を守る人たちが世界中で消えている。私たちが地球が再生できる量を遥かに超える資源を消費し続ける背景で、その資源を守るために誰かが命を張って戦わないといけないことも、彼らが命を落としていることも、それを私たちが知らないことも、その全てがおかしい。私たちから、変わらなければいけない。それを、心の底から、ずしんと気づかせてくれる映画です。
――濱川明日香(一般社団法人Earth Company代表理事)
希少木材の需要があり、また観光開発で利益をむさぼることができる社会の構図を変えない限り、自然の搾取は止まりません。この映画は自分ごととして観るべき作品だと思います。
――正木 明(気象予報士・防災士)
緊迫感に満ちた『Delikado』。その緊張感は最後まで途切れない。そして描かれる環境保護活動家たちの揺るぎない勇気もまた途切れることはない。圧倒的な作品だ。
――土井香苗(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
「希望と絶望」の両方を、これほどまで強く感じたことはないかもしれない――地球最後の美しき秘境での「善良と腐敗」の壮絶な戦い――日本をはじめ世界中で起きている、この対立の縮図が、この小さな島にある。果たして、善良は腐敗に打ち勝てるのか。
――四角大輔(作家/森の生活者)