「貧困の原因は人でなく環境」
この一言がズシンと心に響きます。
一般的なアメリカの家庭に育ったクリスとザックのふたり。
両親がそろい、スポーツや趣味に時間を使いながら過ごした学生時代。
そんなふたりが、貧困の現場でその生活を実際に体験します。
舞台は中米のグアテマラ。
住民の多くが貧しい暮らしを送るその村で一夏を過ごします。
支出の大きな部分を薪代が占めたり、
寝床ではノミに身体中をくわれたり。
食費を抑えたために十分なカロリーがとれないことも。
あんなにバナナを美味しそうに食べる姿はこれまでに見たことがないほどです。
日雇い仕事などで収入が不安定な生活にできるだけ寄り添おうと、その日の収入をくじ引きで決めることにします。
大きい数字が出たときはいいのですが、0や1が続くと、生活はたちまち行き詰ります。
クリスは途中で感染症と寄生虫にかかり、病院で診察を受けます。
体調不良の原因がわかり、薬を飲めばいいとわかっているのに、その薬代がありません。
病院には行ったけれど、結局、薬を購入できずに帰ることに。
このような不安定な生活の中で現地の人たちは365日、実際に生きている。
日雇いの仕事がもらえなければ、悪天候で作物がとれなかったら、たちまち命が危うくなる。
こんなギリギリの暮らしをする人々を支えるがグラミン銀行。
一般的な銀行ではお金を借りられない人でも、簡単な手続きで融資が受けられる。
それを元手にして新しく仕事を始めたり、学校に通うことができるようになる。
そこで見られる笑顔のなんと輝いていることか。
仲間内でお金を出し合い、それを順番に受け取る「貯金グループ」の存在も大きく役立っています。
12人のグループでひとり12ドルずつ出し合い、その合計144ドルを順番にもらっていくシステムです。
家屋の修繕や結婚などの行事など、一時的に大きな出費をする際にとても有効です。
日本でも、沖縄にある「模合(もあい)」は同様の仕組みです。
1日1ドルの生活が2ドルになったら?
私たち日本で暮らす人にはあまり違いがないけれども貧困層には大きな違いが生まれます。
ほんの少しの収入の違いが、特に子どもたちに大きく現れます。
What can I do to help?
私たちはいったいどのようなことができるのでしょうか?
この問いに対するクリスの一言がこちら。
「貧困の人よりも貧困でない人のほうがはるかに多いだろう。
そのひとりひとりが1人を支えることができれば。」
small changes make big impacts
世界を変えるには、私たちひとりひとりの小さな変化が必要なのです。
鑑賞後、参加者の方々も様々な気づきを共有してくれました。
・学べないことで、職につけないという環境をなんとかしたい。
・こどもたちが働かざるを得ない状況が続くのがつらい。
・スタッフがこれまで経験したことない生活をすることに意義があるし、それを映画で追体験できることにも意味がある。
1時間程度の短い上映時間ですが、1人でも多くの方に観ていただきたい作品です。
次回のウナギネマは、7/21(金)〜23(日)の3日間です。
上映作品は『草間彌生∞INFINITY』。
60年代のニューヨーク。
女性芸術家が単独で個展を開くことが不可能とされた時代、草間彌生は苦境の中でも創作活動を続け、不可能を可能に変えていく。
これは天才芸術家の。そして1人の女性のパワフルでドラマティックな人生が詰まった感動のドキュメンタリー。
詳細はこちらから。
http://unaginema.com/2023/06/27/2023ウナギネマvol-4『草間彌生∞infinity』/