バベルの学校
ジャンル
教育 人権 多様性 時間 89分
製作年2013
監督 ジュリー・ベルトゥチェリ
「違い」は、集団において財産である――。
2020年までには、日本にもそんな文化をつくっていきたい。
- 作家 乙武洋匡
子どもたちの無限の可能性を引き出す本当の教育とは何か。
原点をじっくり教えてくれるこの作品。
ぜひ多くの教育関係者、親たちに見てほしいです。
- 教育評論家/法政大学教授 尾木直樹(尾木ママ)
24人の生徒、20の国籍、24のストーリー。
フランス中を感動に包んだドキュメンタリー。
(c)pyramidefilms
About the film
アイルランド、セネガル、ブラジル、モロッコ、中国…。世界中から11歳から15歳の子どもたちがフランスにやって来た。これから1年間、パリ市内にある中学校の同じ適応クラスで一緒に過ごすことになる。 24名の生徒、20の国籍…。この世界の縮図のような多文化学級で、フランスで新生活を始めたばかりの十代の彼らが見せてくれる無邪気さ、熱意、そして悩み。果たして宗教の違いや国籍の違いを乗り越えて友情を育むことは出来るのだろうか。そんな先入観をいい意味で裏切り、私たちに未来への希望を見せてくれる作品。
文部科学省特別選定 社会教育(教養) 青年向き
文部科学省選定 社会教育(教養)成人向き
(2015年1月15日選定)
More info
アイルランド、セネガル、ブラジル、モロッコ、中国…。11歳から15歳の子どもたちが世界中からフランスのパリにある中学校にやって来た。24名の生徒、20の国籍、そして24のストーリー。家庭的な事情でやってきたもの、辛い母国の生活から逃れてきたもの、亡命を求めてやってきたもの、または単によりよい生活を求めて移民して来たものなど理由は様々。
フランスに来たばかりの彼らが入ったのは適用クラス。このクラスでフランス語を学び、話せるようになるための集中トレーニングを受け、やがては通常のクラスに移るために、他の教科も学んでいく。
国籍も宗教もフランスに来た理由も違う子どもたちの中には時に大声で口論し、泣き、自暴自棄になる子も。ブリジット・セルヴォニ先生は、そんな子どもたちを驚くほどの辛抱強さで見守り、なだめ、そして導いていく。
国籍も宗教も家庭のバックグラウンドも違う十代の生徒たちが、異国の地フランスで、言葉もままならないなか葛藤を抱えて新生活を初め、時にぶつかりながらも様々な壁を乗り越えて友情を育んでいく。そんな彼らの姿は私たちに未来への希望を見せてくれる。
ジュリー・ベルトゥチェリ監督作品(『パパの木』、『やさしい嘘』(カンヌ映画祭批評家週間賞))。
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
Data
原題 |
La Cour de Babel |
製作年 |
2013 |
製作国 |
フランス |
制作 |
Les Films du Poisson、Sampek Productions 共同製作:ARTE France Cinema |
配給 |
ユナイテッドピープル |
時間 |
89分 |
Cast & Staff
監督 |
ジュリー・ベルトゥチェリ |
製作総指揮 |
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プロデューサー |
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原作 |
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脚本 |
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音楽 |
オリヴィエ・ダヴィオー |
撮影 |
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編集 |
ジョジアンヌ・ザルドーヤ |
キャスト |
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上映会主催者の声
上映会を主催された方の声を紹介します
違いを認める
ヨーロッパでも人種差別の傾向が強くなっている中で、こどもたち一人ひとりの個性や価値を映し出す作品。
フランスで年間3〜4万人も移民の子供がいるというのは日本と大きく異なる部分だと思います。
ただ、言葉を話せない子どものため、フランスでは全土に移民用の適応クラスが存在。小中高、全年代むけで、映画では11〜15歳までの子供たちとのこと。
映画の中の象徴的な言葉を抜粋すると、
・違いは一つの豊かさの象徴である。
・国や文化の違いは悪いことではなく素晴らしいこと。みんな同じである必要はない。もっと個性を出して生きていきましょう
・他人を受け入れる、他人に偏見を持たずに接する。相手を理解することで人種問題もなくなり共存していける
・学校で躓くと一生の問題になり、社会に馴染むことができなくなり、受け入れてくれる場所がないと益々孤立してしまう。
・こどもにどうして話させるか?生徒たち自身が話し合うことで、「自分とこの子は違うんだ、でも違ったままで一緒に生きていけるんだ」と言うことがわかるから。それを先生の言葉や教科書で、「宗教はこういうもの」と押し付けてもわからない。自分たちの体験から学んでいくことを大切にする。
移民が少ない日本でも大変大事なことを教えてくれる映画でした。それぞれの意見を言い合い、意見が違ってもいい。
日本では、どうしても効率を重視した画一的な教育が目立つような気がしています。校則の問題なども生徒の個性をつぶすためのものに思えてなりません。子どもの意見を大事にする、と言うことは日本はまだまだ遅れているのだと考えさせられます。
小学校へのチャリティー企画として、保護者が中心となって運営している上映会ということもあり、参加者の関心が高い内容でマッチしていたと思います。子どもにも自分ごととして捉えやすく、理解が深まる作品でよかったと思います。
子供連れで参加される方も多いので、作品の選択に幅があるのはいいなと思いました。
教育関係者が多く参加してくれました
教育関係の方が多く参加し、日本の学校との違いについて対話をすることが出来ました。バベルの学校では24人クラスに対して、日本では40人がいるために一人の先生では見切れていないのではないか。1クラスの人数を減らすためには教育への予算配分がもっと必要になる。という話が出ました。多様な子どもたちに寄り添える環境が出来ていくと良いなと感じる上映会でした。
学級の多様性から自分の中の多様性へ
20の国籍を持つ24名の中学生の映画を観ることで、世界の多様性に思いをはせる時間になりつつ、対話は自分の中の多様性にまで話が及んだ。
自分の中にもたくさんの分人のようなものがいる。世界の多様性は大切にしたいと思いながら、自分の中の分人の多様性は認められず、否定したり。
多様性は遠くのことではなくて、近くのこと。自分のこと。
1人で映画を観るのではなく、対話をすることで、より深いところまで旅ができたなあという感覚を得ました。
多様性を受け入れる土壌をどう作るか
それぞれの国や家庭の事情を抱えた20か国26人の中学生がどのように多様性を認めながらひとつのクラスを作っていくのかーパリの公立中学校で実際に起こっている多様性のあり方は、今後の日本社会にとってとても参考になることばかりでした。教職についている参加者が多く、登場する教員の姿にも心を打たれたとのこと。ひとり一人の中学生にしっかりと向き合う教師の姿勢に「ああありたい」という共感の声が聞かれました。
文化や宗教という壁を越え、彼らはお互いをわかろうと不器用に衝突を繰り返している。
たまにふとみせる寂しげな表情に、移民としての辛い過去を垣間見て、胸がつまるようでした。
たどたどしく、それでもひたむきに。
自分を主張していこうと懸命にもがく彼らに、強さをもらいました。
人は、こうも強くあれるものかと感じさせてもらいました。
そして、彼らそれぞれを見据え、あらゆる偏見、差別の類いを度外視して、個人として生徒に向き合う先生の姿に教育者の鑑をみました。
最後のシーンは、涙をこらえられませんでした。
必見です。