これまで「ファストフード」という言葉は聞いたことがあるものの、「ファストファッション」という言葉は初めてでした。それが何を意味しているのか。この映画で取り上げられているのは、ファッション業界のブランド企業と、劣悪な環境・低賃金で働かせられる縫製労働者、原料となる綿を栽培する農家と種子を独占するグローバル企業の関係、農薬による環境汚染、自殺に追い込まれる農業者、皮革製品の製造過程で垂れ流される汚染水、飲み水や地下水の汚染とその影響を受ける村民の姿などなどです。安価な洋服が大量に消費されるファッションの世界、そしてそこで起こっている様々な問題を知ることができました。「私たちの血でつくられた洋服を着ないでほしい。もうたくさんだ」という労働者でもある母親の言葉が強く印象に残りました。
参加者からは、「若い人にも見てほしい映画ですね。今回も真の豊かさを考えさせられました。少し勉強していた内容ですが、改めて身につまされました。フェアトレードな商品を選ぶ人になりたい。ピープルツリー、実は愛用しています。good choiceでした」「「血で作られている服」印象強く残りました。少ないわずかなお金で生きていくために犠牲者が増える。ファーストフード、ファッションetcが生態系も多様性も命も地球もけずってゆく。システムの変更、私ができる事は?」「まったく無知なことでした。中国、ベトナム、そしてカンボジア…。H&Mは本当に安くて、いいなあなんて買っていました。で、安く作られている事は知っていましたが、正当に支払われていると思っていました!裏側を知り、おどろきました。やはり知ることは大切です」「厳しい映像に目を覆い、自分の無力さを痛感しました。「エシカルコンシューマ」という内容が10年位前から教科書にのるようになりました。世界規模での現実を知る(学ぶ)ことが大切です。しかし、今、世界の主要リーダーが〇〇ファーストの名のもとに国際法すら無視する現実に失望を覚えます。「システムを変える」、私達はどう行動すれば良いのでしょうか」などと多くの感想が寄せられました。
どこのブランドのどの服を選択するかは私たちの自由。しかしその何気ない、無意識な意思決定の背景で血が流れていることを、私はこの映画で初めて知った。
安い服を買い回してクロゼットを膨らますこと、着倒すまで着ないで廃棄することを見直そう、ではない。
低価格の服の企画、生産、流通の事業が、グローバル化した世界でどんな構造で成立しているか、華やかなファッション業界の裏側の知られざる真実についてドキュメンタリー映画を通して伝え、問題提起しているのがこの映画【ザ・トゥルーコスト ファストファッション~ 真の代償~】だ。
私の昨今のテーマで、過日のミニ講演でもお話しした【豊かさと幸せのものさしが変わった】ことに通じる主題であり、本当に深く染み入る映画だった。消費(しすぎる)社会への警鐘。
だからこれはファッション業界を題材にしてはいるが、そこだけの話ではないと言える。
是非、11/14から公開の渋谷のアップリンクへ