消費者が袖を通すまで、どんなルーツを経て手元に洋服が届くのか、消費者の誰もが感じようとしない、見ようとしない現実を垣間見ました。
安く手に入るということは、洋服にいたるまでの素材・技術・労働力が安価に買い叩かれているという現場のリアルな声をとりあげています。
下請けは、なるだけ安くという強い力を持つ発注元の要望に答えるため、労働者が安全に働ける環境を軽視、大規模な崩落事故により多くの労働者が死亡したり、薬品被害による病気の発症、障害を持つ子どもが生まれたりと、第三世界では健康被害に悩まされています。
これは、消費大国の一国である日本も無関係な話ではなく、遡れは、高度経済成長期の日本であった公害が、産業や場所を変えて、多数の発展途上にある国でおこっているのだと認識させられます。
安さの裏側にある「怒り」「嘆き」「悲しみ」「苦しみ」を感じ、今一度、消費するという行為について考えるきっかけをつくってほしいと思います。
群馬県桐生市で開催したのは、繊維の街とよばれるがゆえに一緒に考えたいと思ったからでしたが、『消費』全てにおいて、無駄があるすぎる行為があるのではと感じざるを得ない内容でした。もっと幅広く各地で上映会が行われることを願います。
どこのブランドのどの服を選択するかは私たちの自由。しかしその何気ない、無意識な意思決定の背景で血が流れていることを、私はこの映画で初めて知った。
安い服を買い回してクロゼットを膨らますこと、着倒すまで着ないで廃棄することを見直そう、ではない。
低価格の服の企画、生産、流通の事業が、グローバル化した世界でどんな構造で成立しているか、華やかなファッション業界の裏側の知られざる真実についてドキュメンタリー映画を通して伝え、問題提起しているのがこの映画【ザ・トゥルーコスト ファストファッション~ 真の代償~】だ。
私の昨今のテーマで、過日のミニ講演でもお話しした【豊かさと幸せのものさしが変わった】ことに通じる主題であり、本当に深く染み入る映画だった。消費(しすぎる)社会への警鐘。
だからこれはファッション業界を題材にしてはいるが、そこだけの話ではないと言える。
是非、11/14から公開の渋谷のアップリンクへ