新着映画レビュー

社会を持続可能な方向に導くために考案されたはずの「グリーンな」認証。その本来の意図を軽々と踏みにじる企業の利益至上主義。いわゆる一般的な生活者の目線とユーモアを大切にする監督の姿勢もあって、ニュートラルな心の状態を保ちながら深刻な実態を追体験できる優れたドキュメンタリーだ。正直に言って、エシカルな消費行動や認証ラベルの意義などについての普及活動をしてきた私は、不誠実な企業による裏切りとも取れる行為の数々に目眩がするほどのショックを覚えた。

それでも尚、私はこれからも、さまざまな認証を参考にして生活をおくるだろう。なぜなら、この地球上のたくさんの場所で起きていることに想いを馳せるとき、認証という仕組みがなければ世界はもっと酷いことになっていると感じるからだ。今の社会システムが次のステージに進むための手段としての可能性を持つ認証制度そのものを批判するだけでは、持続可能な社会づくりに貢献することにはならない。悪いのは認証そのものではなく、その仕組みを悪用する既得権益者と、認証を盲目的に信じる私たち生活者だ。私たち全員の幸せにとって欠くことの出来ない持続可能な社会を実現するには、一人ひとりが自分自身の目を、耳を、感覚を研ぎ澄ませて、真実に迫る努力をするほかないということを、改めて突きつけてくれるありがたい作品だ。

― 末吉里花
エシカル協会代表

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危機を乗り切るためにユーモアが大切であることを、僕はグリーンランドや南米パタゴニアのフィヨルドや氷河を人力で旅した仲間から学んだ。僕にはない資質を持ったその友人は、状況が深刻になればなるほど独特のセンスを発揮して皆を笑わせた。今、人類は未曾有の危機を迎えている。状況を深く知れば知るほどシリアスにならざるを得ない。でも多くの人々は暗いニュースは好きではないし、耳に痛い話は本能的に避けようとする。大切なことは問題解決への近道を見つけることで、多くの場合、怒りよりもユーモアの方が状況を良くすることに繋がる、というのが今のところの僕の考えだ。そう言う意味でも、この映画の意義は大きい。

― 辻井隆行
元・パタゴニア日本支社長

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“グリーン・ライ”を終結させるためには、大量消費主義と闘う原動力を、魂の底から掘り出さなければならない。わたしたちは、今この瞬間から選ぶことができる。このままウソをつき続けて金を得るのか、それとも、使命に従い自らの命を全うするのか。

― 井出留美
食品ロス問題ジャーナリスト

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SDGsの影響で、遂に大企業もサステナビリティを掲げるようになったが、すべてを鵜呑みにしてはいけない。この映画が暴くその事実を知って「消費する恐怖」がより高まった。さあ、あなたはこれからどうする?

― 四角大輔執筆家・森の生活者

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その他レビュー
https://unitedpeople.jp/greenlie/rv

「グリーン・ライ~エコの嘘~」

ユナイテッドピープルさん 20/05/07 14:45

役立ち 学び 人生変わる

この日本でも「規制緩和」、「民営化」、「自由貿易」の名の下に、グローバル大企業によるタネの支配が進行中だ。命の源であるタネが危ない。ぼくたちもこの映画に登場するタネの守り人たちの輪に連なろう。

- 辻 信一(文化人類学者)

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多国籍企業によるタネの支配が進むことについて、私が心配していた事をタネの歴史から詳しく紐解き、
現在の遺伝子組換え種子まで 丁寧に描いた良い映画です。
この映画を観ればタネは誰のものか考えさせられます。
私は等しく人類の遺産であって、それを金儲けの道具として囲い込みしてはならないと思います。
- 山田正彦(元農林水産大臣)

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海の向こうの他人事が、
いつの間にか、
私達日本人の足元にも
火をつけているのが見えるだろうか?
国境を超えたマネーゲームが、
種子を農民から取りあげ、
多様性を壊し、
消費者から主権を奪い、
生命に値札をつけてゆく。
この映画は、私たちに気づかせ、呼びかける。
何を口にしているかを知ること
自然とのつながりを取り戻すこと。
「今だけカネだけ自分だけ」幻想から目を覚まし、
動き出した世界中の仲間とともに、
「おたがいさま」という名のタネを、
今すぐまき始めなさい、と。

- 堤 未果(国際ジャーナリスト)

その他レビュー
https://unitedpeople.jp/seed/rv

「シード~生命の糧~」

ユナイテッドピープルさん 20/05/07 14:43

役立ち 学び

もう、あなたの肩だけに背負わせたりはしない。この映画を観た私たちも一緒に、声を届けるから。これはイラクや女性という枠を超えた、「人間の問題」なのだから。

― 安田菜津紀(フォトジャーナリスト)

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人権侵害を知らせること自体が難しい、世界を動かすことはもっと難しい。その中で、ナディアさんのような被害者が声を上げることの勇気、困難、希望が凝縮された映画。

― 土井香苗(ヒューマン・ライツ・ ウォッチ(HRW)日本代表)

いくら言葉を尽くしても越えられない「無関心」の壁と闘うナディアさんの底知れぬ悲しみに言葉を失う。それでも前を向く彼女の強さに涙が止まらなかった。

― 長野智子(キャスター)

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夢、家族、故郷、自由―、一度に全てを失った一人の村娘ナディア。「どこに行って話しをしても、奴隷だった自分しか見えない」。悲しむ人々の代弁者となった彼女の言葉と、遠くを見据える眼差しに、私たちはどう向き合うのだろうか。

― 林典子(写真家)

その他レビュー
https://unitedpeople.jp/nadia/rv

「ナディアの誓い - On Her Shoulders」

ユナイテッドピープルさん 20/05/07 14:41

感動 学び 泣ける

難民という厳しい境遇でも
諦めずに夢を追い奮闘するソニータの勇気と微笑みに感動した。
この作品を多数の方々に観ていただき、
無数に存在するソニータの様な難民への理解を深め、
支援にも立ち上がってほしい。

─ 緒方貞子
(第8代国連難民高等弁務官)

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誰が、なんと言おうと

自分の人生は、自分で、決める。

彼女の生き方をリスペクトしています。

─ MIYAVI (アーティスト / ギタリスト)

***

圧巻のドキュメンタリー

ヒップホップアーティストを志す
イラン在住のアフガニスタン難民の少女ソニータ

ソニータの魂のライミングに心揺さぶられる

この映画の意味を
受取手が意義に変えなくてはならない

─ 斎藤工(俳優、フィルムメーカー)
(ブログ・斎藤工務店より引用)

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心に鍵をかけるのをやめた
ソニータ
彼女の中の怪獣が暴れだした
それ、を音楽という。
もう誰にも止められない
言葉の生まれる瞬間を
映画を通して立ち会えると
こっちも興奮してしまう
あなたも
詩人誕生の目撃者になりませんか

─ 一青窈(歌手)

「ソニータ」

ユナイテッドピープルさん 20/05/07 14:40

感動 元気 学び 泣ける

溢れる愛で全てにタッチ&ハグのデイヴィッド。

子供のような振る舞いに静かな愛の眼差しを向けるギリアン。

太陽と月のような二人の愛があるからこそ、天衣無縫な演奏が人々の心を照らしていくのを感じて、胸が熱くなりました。
― 川井郁子 (ヴァイオリニスト)

* * *

この映画に「音楽そのもの」の人を見た。そして震えた。

歌うように、踊るように、時に泳ぐようにピアノを弾く、精神疾患と診断された天才ピアニスト、デイヴィッド。

彼の、常識にまったく縛られない、圧倒的に自由で独創的なプレイ。
音楽は、音を楽しむこと、音を愛する行為なんだという真理を改めて気付かせてくれた。
音楽とは人を解放する存在であり、神聖な儀式であるということも、彼は教えてくれた。

最後に。
彼のことを救い出し、支え、世に送り出してくれた妻のギリアンには心から感謝の意を伝えたい。

― 四角 大輔(森の生活者・執筆家)

***

演奏によって聞き手に安堵感を与える人もいれば、本人が演奏することで自分の平静を保つ場合もあります。ヘルフゴットは「セルフ・ヒーリング・ミュージック」と言えるのでしょうか。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

「デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり」

ユナイテッドピープルさん 20/05/07 14:38

感動 元気 人生変わる 泣ける

●教育と異文化理解について深く考えさせられる映画!

1番印象的だったシーンは適応クラスの授業の様子。
自分たちの信じる宗教について話題があっちにいったりこっちにいったり。
「ブルカは大人の女性になった象徴でお母さんから買ってもらって誇らしかった。」
「パリで買ったコーランだから特別。大人になった気持ち。」
「みんな神様の子だからみんな平等なはず。」
「アダムとイブはどうやって子供を作ったの?それを教えてくれたら先生の話を信じる。」
日本では聞けないし、話せないし、感じることのできない多様性をのびのび感じることができた。

自分がここにいていいんだという居場所が
多くの子ども・青年にとって「学校」だったら幸せだなぁ、と。
どうやったら、そういう「学校」を作って行けるのかなぁ、と。

大人が自由に本当のことを言える環境・職場を持っていること、
そんな大人になれるように多くの体験を通して学ぶこと、
が今、自分にできることだなと感じました。

「バベルの学校」

Minamiさん 20/04/26 18:13

学び

人類が誕生するよりもはるか昔からそこにある大自然。
たまたま地球上で高い知能、文化を持っているだけの人類が、人類の都合だけで大自然を破壊していいのか、地球にダメージを与えていいのか、誰もが疑問に思っていることを改めて声に出して共有するきっかけを作ってくれる映画でした。

「ZAN ~ジュゴンが姿を見せるとき~」

一BAさん 19/08/31 12:33

学び 人生変わる

見終わって渋谷駅に向かいながら、自分の周りの景色や人々に違和感を感じました。このまま日常に戻ってしまっていいのかと考えさせられました。それくらい作品の中に入り込めました。
爆音や戦闘機などの音もあるのですが、そういうものからくるのではない静かな衝撃がありました。
作中の「アサドのせいで俺たちは空を見上げるようになった」というセリフが1番印象に残っています。私たちが空を見上げる時なんて、天気を気にする時か清々しい気分である時で、しかも飛行機を命の危険をもたらすものとして捉えたこともない。なんというか決定的な違いを感じました。

「アレッポ 最後の男たち」

Yamatoさん 19/05/11 11:34

人生変わる

 終始、胸にナイフを突き刺されているようであった。映し出される光景や彼らの表情と言葉は、問答無用に心に入りこみ、気づくと下腹部に力が入り呼吸が止まっている自分が何度もいた。
 ハレドの子供との会話や向ける眼差しは、どこにでもある平和な風景であるが、そこは空爆が行われている最中の瓦礫と化した町であった。文字通り常に死が隣り合わせの中で、瓦礫に埋もれた生存者を救出しながら、自分の家族の命の安全について同様に考える。残るか、この地を離れるか。離れたところで安全は保障されていない。生きることが命がけになることにはかわりはない。しかし、家族を守りたい。苦悩、葛藤、救助、死体と向き合い、死者の数を報告する。ある日、彼らが公園の遊具で楽しむも束の間、戦闘機の飛来で避難する。標的とされないために集団で一箇所にいてはならない。そう、もはや戦闘機は、人を殺すことだけが目的で、戦闘員であるか、非戦闘員であるかは関係ないのだ。そのような戦時に彼らの日常があり、家族と過ごしている生活がある。子供や家族、兄弟を思う気持ち、同僚と冗談を言い合う普通の場がある。希望や未来はどこにあるのだろうか。果たしてそれを日常と言ってよいのだろうか。
 何度も空爆を繰返し、ボタンひとつで爆弾を落とす行為に、「人殺し」という重みを麻痺させていると怖く感じた。どのようにこの行為を肯定することができるのだろうか。正義は勝者にあるのだろうか。これが同じ地球上で、同じ人間という生物がおこしているのである。映画は説明が多くないだけに、当事者達の会話から直面している悲しみや苦しみが、そのまま心に突き刺ささる。トークショーにおいて、安田純平氏の「無関心、無責任」という言葉が重かった。何が正しく、何を問題にすべきかを自分の頭で考えることだけが、過ちを踏みとどまらせてくれるブレーキとなるのだと感じた。

「アレッポ 最後の男たち」

Yayaさん 19/04/14 20:14

学び 人生変わる 泣ける

この映画のポスターをパッと見るとなんだか楽しそうな「プラダを着た悪魔」みたいな内容なのかな?
と思うが内容は全然違う。
ファストファッションがこんなに世界を傷つけていたなんて。
私はファストファッションを大事に長く使う派ですが、
もう少し単価を上げて皆が大事に着るようにならないといけないと思う。
あと、フェアトレードの世界で日本が出てきたのが嬉しい。

「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」

名前のない映画館さん 19/04/05 10:52

役立ち 学び 人生変わる

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