騒音の溢れる現代に、静寂への回帰を雄弁に勧める静かな映画。さあ、沈黙を迎え入れる稽古を始めよう。
── 藤田一照(曹洞宗僧侶)
News
- 2019/05/13
- 『静寂を求めて -癒やしのサイレンス-』【教育機関用DVD】5月13日販売開始!
- 2018/12/16
- 映画『静寂を求めて -癒やしのサイレンス-』名古屋シネマテークで12/19まで上映!

© TRANSCENDENTAL MEDIA
About the film
*騒音は現代の重大な公害問題。知らぬ間に私たちの心体はリスクにさらされている。
急速に経済が成長し、技術革新や都市の拡張が進む私たちが生きる現代において、静寂な時を持つことは特別な事になっている。都市部では、一時たりとも無音状態が存在せず、あらゆるノイズに囲まれているからだ。都会で日々聞こえてくる交通機関や街頭などからの騒音は、私たちの健康にとって、大気汚染に次ぐ重大な公害問題だと世界保健機関(WHO)は指摘する。環境騒音は、ストレス、睡眠障害、学習障害、聴覚障害、そして心疾患など多岐にわたる健康への悪影響を与える原因となることが知られ始めている。
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*静寂は心を鎮め、開かせる。そして心を環境と調和させる。
騒音から逃れるため、グレッグ・ヒンディは23歳の誕生日までの1年間、沈黙の誓いを立て、一言も発せずに徒歩でアメリカ大陸を横断した。作曲家ジョン・ケージが音楽の新たな地平を開いた独創性に富んだ無演奏の曲「4分33秒」は、演奏以外の「無」を聴き、そして観るという、常に揺れ動く心に静かな居場所を与えるような全く新しい体験をもたらした。日本の宮崎良文教授は、森林浴によって都会人がリラックスし、ストレスが軽減することや、低下していた免疫機能が改善することを大学医学部等との共同研究で確認した。静寂の必要性が急速に高まっていく中、『静寂を求めて』は、私たちがあらゆる音に囲まれて生きるこの21世紀を、静寂、音楽、騒音などの音に焦点を当て、健全に生きるための方法を探究するドキュメンタリーである。
Data
原題 | IN PURSUIT OF SILENCE | 製作年 | 2015年 |
---|---|---|---|
製作国 | アメリカ | 制作 | TRANSCENDENTAL MEDIA |
配給 | ユナイテッドピープル | 時間 | 81分 |
Cast & Staff
監督 | パトリック・シェン | 製作総指揮 | アンドリュー・ブロメ、ポピー・スキラー、ラリー・ファインゴールド |
---|---|---|---|
プロデューサー | パトリック・シェン、アンドリュー・ブロメ、ブランドン・ヴェダー | 原作 | |
脚本 | 音楽 | アレックス・ルー | |
撮影 | 編集 | パトリック・シェン | |
キャスト | グレッグ・ヒンディ ケイ・ラーソン ジョン・ケージ デイヴィッド・ベチカル ヘレン・リーズ ポピー・スキラー 奈良 宗久 宮崎 良文 宝積玄承 |
Review(2)
上映会主催者の声

「皆が静寂を学べれば、地球にとっても良いことです。
空いている空間を必死に埋めようとしなければ
そこに空(から)の空間を詰められます。」
詰め込むことから解放される。
音を、空間を、詰め込まず、空(から)を詰めることで、
私たちは、落ち着いて、今すべきことを考えることができるかもしれない。
うちのまちには、安藤忠雄さん設計なのに、あまり活用されていない建物と小さなホールがあります。
そのホールで映画「静寂を求めて」を観た後で
安藤忠雄が見せたかった?風景を観ながら
「皆で創り出す4分33秒の静寂」を楽しみました。
空白を創るって、クリエイティブな試みなんだな。
ということに気づかされた上映会でした。
今回は、感想シェア会はせず、静かに片づけをして、後で感想を寄せてもらうことにしました。
・昨日行った文房具屋さんは、ずっとお店のコマーシャルソングが繰り返し流れ続け、さらに他の音楽までかかっていて早く外に出たくなった。騒音の健康被害はあるよね。
・瞑想をしたら、と勧められているが予防医学的にもいい事を知りやろうと思う。静寂をテーマに何かやりたい気持ちになった。
・自分にとっては睡眠時が静寂かな
・静寂とは思考や行動を中断する事という言葉があったが、常に前に進む事やスピードを求められがち。自分は何を考えているのか、何を望んでいるのか、中断して静寂に身を置く事が今の私に必要かも。
・地方は都会と比較すると、騒音が少ない気がする。人間には自然の音と土が必要じゃないかな。
なんて、おしゃべり。
いい時間でした。
人類は、自分達に必要なものの確認をし忘れてドンドン突っ走って、なんか変だ、具合悪くなってきた、と思いながら突っ走っている気がする……。
中断して、静寂を求めた方がいいと思うなぁ。
私たちは日々、物理的な騒音から精神的な騒音まで、数々の騒音に晒されています。
電車の音、飛行機の音、異常に大きいアナウンス、足音、話し声、CM、音楽。人間関係など。
私たちは毎日を生きる中で、どれだけ静寂の空間を生きれているでしょうか。
自身に向き合えているでしょうか。
「歴史的に孤独は高尚なものだった。現在はその価値が失われているので復権させる必要がある。」
(本編より)
日々、正体の良くわからない焦燥に追われ、せかせかと生きることを強いられ、「楽しい」「楽」「面白い」「義務」「権利」「意思」こういうものだけのために時間と精神を浪費している。
「一人でいること」は友達がいないこととされたり、精神を病んでいると扱われたりする。
でも決してそんなことはない。静寂とは、神を感じ、感覚が研ぎ澄まされ、自分自身のことを見つめなおす時間と空間のこと。
静寂。
しん、と静まった空間で、あなたはどんな時間を過ごせるだろうか。
この映画を通して、失われつつある静かな営みを大切にして見てください。