2012年と少し昔の映画ですが、小さな輪から始め、地域の人に呼びかけて、電力を融通し合う人々の姿に可能性を感じる映画です。
サムソ島では、財政破綻の後に抜本的改革として、電力の自立と地域循環を考え、100%を実現。雇用がなくなった島で、再エネの利益を収入源として、配分。
社会性と企業家精神を併せ持つ社会起業、協同組合が電力自治を可能にし、投資に対する利益も高いそうです。
映画の中で、「将来石油は高騰する。自分とまちを救いたい」という発言がありましたが、今の世界がまさにそうなっていると思います。
また、分散型資本主義を提唱し、成功には社会との密接な関係が重要で、交流と信頼、団結、連帯感が鍵に。知っている人だからという信頼に基づいた運用が行われているそうです。グローバルから顔の見える資本へ。
全ての住宅が発電所になりうるという点で、日本の住宅の1割程度しか太陽光発電が普及していないことを考えると可能性しかないですね。
日本でも市民電力が立ち上がっていますが、コストも下がり続けている状況ですので、売電だけではなく、分散し、自立していく形が広がることでしょう。
多くの学びがありました。
当日は東北大学の明日香先生のトークがありました。
・2012年に比べて太陽光発電は10分の一のコストになっており、映画と比べて、さらに儲かる状況が出ています。
・2022年から2026年まで新たに作られる電気の95%は再エネになると言われています。太陽光発電はその中でもキング。
・日本は国際価格と比べて、今も1.5〜2倍高い。東京都は太陽光発電をつけることを義務付ける、そして、省エネ基準を強化することを議論しています。
・日本では建築物の1割程度しかなく、まだまだ少ない状況で、屋根の上に可能性がまだまだあります。畑のソーラシェアリングも進んでいます。耕作放棄地や荒廃農地なども可能性があります。
・ポイントは銀行にお金を預けても利子はほとんどつきません。再エネへの投資は経済的にもプラスになりますし、地域も豊かになります。
<Q&A>
Q 私たちにできることは?
A 気候ネットワークの行動アクションで、できることが段階づけられ参考になります。
また、ライフスタイルを変えるのは大事ですが、それだけだと実はCO2は大きくは減りません。電力が石炭火力発電のものを使っていたら減らないのです。太陽光や風力にしてと、大手電力会社に伝え、変えていくも大事です。
Q 化学物質過敏や電磁波過敏があり、電磁波、灯油で体調が悪くなることが。どっちも値上がりしていて、値上がりされる中で、そのままなのもつまらないなと。体調にも良いものをと考えていたのですがピッタリのものがなくて。
A 一般的に言われるのは、断熱住宅。断熱材を入れるだけで、冷暖房を入れない環境も作れます。工務店と相談することで、生活しやすい環境も作れますよ。日本は断熱性能が低く、ヨーロッパよりも何十年も遅れています。
地中熱を使う、ヒートポンプという手段も。
Q 大型の風力発電の設置の話があり、生態系への影響などどうなのでしょうか。
A それぞれ一長一短があります。地域の人がどう考えているか、コミュニケーションが大事です。洋上風力をおしているという話もありますが、漁師やサーファーが生態系や波が変わるのではと反対するということもあり、より沖合に作るという検討もあります。
魚が取れなくなるという話もあれば、逆に魚が集まるということもあります。グリーンとグリーンが戦う時があります。どういう時にうかくいくのか?という研究もありますが、地域の人にお金が回るとうまくいきやすいそうです。外からの人がワッときてお金だけぶんどるという形はうまくいきません。
Q 再エネは大きい電力ととって変われるの?維持や耐久性は?
A 意思の問題だと思います。例えば、原発は安全コストが高く、世界では原発はとても高いというのは常識になり、つくろうとしている国は少ないです。日本は太陽光発電が化石燃料よりも高いけれども、海外では再エネの方が圧倒的に安くなっています。
太陽光は実は当初の想定よりも長持ちします。30〜40年もつと言われています。最近では太陽光パネルを作る際に、最初から廃棄の分もお金を払うという仕組みも制度かされています。ただし、どこで作られているのか、どういう材料なのか?例えば、中国ではシリコンがウイグルで作られている話も。それぞれが判断をして、優先順位をつくっていく必要があります。
アメリカでは、政府がすでに太陽光発電が安いと宣言しています。
漫画で楽しむ『パワー・トゥ・ザ・ピープル ~グローバルからローカルへ~』もどうぞ!
http://unitedpeople.jp/p2p/mang